第496(2008年10月27日号)

増田俊男事務所 http://chokugen.com

ニッケイ平均7000円台、NYダウは7000ドル入りで底打ちか?

NY時間10月23日、NYダウ平均は一時280ドル安まで下げた後、引け際で一気に172ドル高に戻した。その後を受けて始まった10月24日(金)、ニッケイ先物は前日の終値8450円から830円下げ7620円となり、夕方4時半から始まる第二セッションではザラ場で7100円台まで下げる大暴落となった。私は、「やがて日米株価は連動しなくなる」と言ってきたが、その意味するところは、「NYダウが下がってもニッケイは上がることがある」という意味だった。ところが今回の暴落は「負の逆連動」、まったく私の言う逆現象であった。前日木曜日はダウが660ドルも下げたにも関わらすニッケイはわずか250円安であった。ところがNYダウが172ドル上げた後の金曜日にニッケイが暴落するとは誰も考えなかっただろう。私は、本稿前号で、「資金に余裕のある人はニッケイが7000円台になったら買いに入ること」と述べた。まさかこんなに早くその時が来るとは正直思わなかった。2007年夏場から、アメリカのサブプライムローン問題に端を発したアメリカの金融システム危機、住宅バブル崩壊、不況懸念を材料に株価は下げ続けてきた。「材料織り込み済」という言葉があるが、いったい何時まで同じ悪材料が市場を支配し続けるのだろうか。正に「馬鹿の一つ覚え」というしかない。明らかに今の市場は異常である。1年3ヶ月間も飽きもせず同じ悪材料ばかりはやし立ててきたが、そろそろ市場参加者は冷静になる頃ではなかろうか。ニッケイ平均株価は昨年夏場の高値から1万円以上、つまり1年間で6割も下げている。株価は経済のバロメーターと言うが、では日本経済の価値は1年間で半分以下になったのか。国民の家計は6割減になっているのか。そろそろ事実に基いた行動をする時ではないのか。たとえば「日本の上場企業の4割以上は事実上無借金」という事実を市場は無視している。

円高はこの世の春なのに

「円高は日本企業にマイナス」という伝統的間違いがいまだに日本のマーケットで幅を効かせている。1995年4月19日の超円高(79円75銭)を受けた翌年3月、輸出産業はこぞって未曾有の経常利益を出した事実を私は繰り返し述べてきた。円高で輸出量は減るが、輸出企業はその分を国内で消化するから、円高による輸入原材料、半製品のコスト減と国内販売には輸出経費(船賃、保険等)が掛からないことで更に競争力が付き利益率は向上する。輸出産業にとって、円高は「この世の春」なのである。輸出企業が円高の度に困った顔をするのは、あまりグローバル経済原理がわかっていない労働組合を牽制するために他ならない。輸出産業が基幹産業である日本経済において、円高は格好の買い材料なのである。ところが10月24日ザラ場で92円の円高になったとたんに日本の投資家はパニック状態となり投げ売りに走った。そこを外人が買うからさらに円高が進行し、さらに日本の投資家の投げ売りが続く。日本の投資家の損が外人の儲けとなる何時ものパターンを繰り返した。1995年4月と1998年10月の超円高とその後の輸出産業の好業績を見てきたのに何故今また円高で投げ売りに走るのか。私にはマスコミで、「円高不況」を口にする立派な方々はいったい誰の味方なのか、外人なのか、日本人なのかと考えさせられてしまう。円が上がれば上がるほど日本株を買うのが正常な投資だ。日本人が持てる円で日本株を買っても円は上昇しないが、外人が自国通貨を売って日本株を買えばどうなるのか。「円独歩高」になるのではないのか。一日も早く日本のマスコミと市場専門家を利用する外人の巧みなManipulation(市場操作)に気付いて欲しい。もう一度言う、日本の上場企業の4割以上は無借金なのですよと。この世界のどこに日本のような国が有るというのか。だから外人が日本経済は世界唯一の安全地帯と知って買いまくっているのだ。だからいずれの国の通貨も下がる中で円だけが上昇しているのだ。外人が悪いのではない。無知な我々が悪いのだ。

第五次中東戦争を始めるしかないアメリカ

これまた何度も述べたように、アメリカ経済は海外からの資金流入なしには存在できない。クリントン時代はITで、ブッシュ時代は住宅で世界の資金を引き付けた。そして過剰資金流入でITバブル、住宅バブルが起きた後、バブル崩壊でいずれも不況突入となった。バブル崩壊直後のアメリカには海外資金導入の牽引産業はない。こうした時にアメリカは必ず戦争を繰り返してきた。ITバブル崩壊直後(2001年)にはアフガン、イラク戦争に突入し、その結果2002年からアメリカ経済はリセッション不安を吹き飛ばし大好況へ向かうことができた。そして今また第五次中東戦争で不況風を吹き飛ばそうとしている。直近は不況が続き、景気回復はやはり来年になるだろうと言うのが一般的見解だが、実はそれを保証するのが戦争であることはあまり知られていない。実体経済でドルが守れなくなったアメリカ、5000兆円を上回る借金地獄に陥っているアメリカに世界経済は翻弄され続けてきた。アメリカ人とアメリカ企業には口座を開設させないスイスの大手銀行を今年訪れた。世界金融不況のまっただ中で行員数、支店数、利益が伸び続けていた。これは一体何を意味するのだろうか。やがて世界は本物だけの銀行、本物だけの経済圏を模索し始めるのではないだろうか。もしかしたら今回の円高は世界に本物の国の代表格が日本であることがわかり始めた結果かも知れない。


外人の株価操作の犠牲を蒙る日本の投資家!

当然円高、株高になるべきなのに何故株価暴落を繰り返すのか。

今後の市場動向を含め、ずばりCD・テープにまとめました。

ご参考ください。


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