民主主義と自由の賞味期限
オバマ新大統領実現はパックス・アメリカーナの終焉を告げるものだ。今日までアメリカの繁栄は民主主義と自由、特に自由市場の拡大にあった。独裁や制約から人類を開放することは政治・経済的チャンスの拡大となり、アメリカが主導して来た自由主義陣営と国際基軸通貨であるドルの市場支配力強化に繋がった。ところがいまやアメリカを支え、アメリカのバックボーンとも言える民主主義と自由がアメリカの勢力を阻害し始めたのである。
オバマ新大統領は従来とまったく異なる勢力から選ばれた。勇気とパイオニア精神でアメリカを拡大してきた指導的勢力からではなく、指導者から権利を与えられ、福祉を権利として求めて止まない層によって選ばれた。2000万人の不法入国者が生んだ子供に自動的にアメリカの市民権が得られ、一親等の両親はこれまた自動的にアメリカ市民になる。与えられる権利を求める国民の数がもう直ぐ人口の50%を超える。「与えられる者にパイオニア精神も勇気も不要である」。アメリカにDependency(国頼り)でCoward(意気地ない)の精神が支配的になってきた。何故パイオニア精神のアメリカが終焉を迎えることになったのだろうか。それは皮肉にもアメリカが国是とする「民主主義」のためである。
高度経済成長の望みがなくなり、またドルの世界経済における影響力が低下する時代になった。こうした時アメリカの民主主義の御加護で人口の50%になんなんとするDependencyがアメリカの主権者になったのである。
アメリカの勇気を誇りとしてパイオニア精神で民主主義を世界に普及してきたアメリカは今皮肉にも民主主義が原因で世界の指導者としての座を降りようとしている。
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