第501(2008年11月25日号)

増田俊男事務所 http://chokugen.com

11月21日、プライベート・コンサル受講のKさんから下記の質問(要約)がありました。質問の内容は、読者の皆様の関心事でもあると思いましたので、本誌でお答えすることにしました。

ご質問

『日経平均が9000円を越してきた時、増田先生は、「もう一度7000円台が来るから慌てて買うことはない」と、「時事直言」で述べられましたが、そのとおり日経平均は昨日(20日)再び7700円台まで下落しました(すごいですね!)』。

『オバマ氏が次期大統領なら底はさらに下がるとも述べておられますが、では次なる底はどの辺でしょうか。また先生は、円は対ドル80円台、ユーロは100円台になると言われていますが、確かに今ドルとユーロに対して円高が続いています。では、どの辺が円高の上限でしょうか。オバマ次期大統領は環境問題に関心があるようですが、環境関連株やクリーン・エナジー産業の株価は今後どのようになるのでしょうか。

アメリカの景気と日本の株価についてお答えします

オバマ氏が次期大統領になったことで、リーマンの破綻による大暴落でつけた大底(ザラ場6994円)からさらに下がる可能性が大きくなりました。オバマ氏の高額所得者層を対象にした増税や新キャピタルゲイン税(20%に引き上げ)は市場にとって大きなマイナス要因です。まるで死人(不況)の足を引っ張るようなものです。オバマ政権では景気回復は予定(2009年後半)よりさらに遅れることになるでしょう。(2010年)

為替についてお答えします

アメリカの経済不況が深まるほど円高は進行するでしょう。1995年4月19日の79円75銭に迫るのは時間の問題と見ています。急激な円高局面では株価は一時的に下がりますが、円高が結果的には日本の輸出関連産業、ひいては日本経済にプラスであることが円高後の決算が近くなると明らかになりますから、円高後3−6ヶ月過ぎると株価は上昇に転じるはずです。前述の1995年4月の超円高の結果が出た1996年3月決算を見ると日本の大手輸出産業は未曾有の経常利益を計上しています。加工貿易大国の日本経済にとって円高は原材料・半製品輸入コスト・ダウンに繋がり、輸出量減に対する内需拡大策さえ取れば、円高は輸出産業にとって「追い風」であり、「円高=株高」が基本であることがわかります。やがて対円でユーロも100円を割るでしょう。現在ユーロ採用国は15カ国ですが、今後多くの中欧発展途上国がユーロ採用に向かいます。その結果ユーロの対円バリューは下がります。

環境・エナジー関連についてお答えします

環境関連株ブームは昨年6月のドイツでのG7と今年の北海道(洞爺湖)サミットまでは有望でしたが、不況感が払拭できず、原油価格が4ヶ月で100ドルも下がり、資源価格も低迷する今日、クリーン・エナジーの競争力が落ちていますので、しばらくは注目銘柄にはなり難いと思われます。しかしオバマ政権が環境、エナジー関連投資を本命に掲げていますから、政権稼動時には動き始めると思います。



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