第504(2008年12月27日号)

増田俊男事務所 http://chokugen.com

激動と大変化の年、2008年が終わった

2008年はアメリカに革命的変化が起きた年だった。最大の変化はアメリカのバックボーンが変わったこと。オバマ次期大統領の選択は今日までアメリカをリードしてきたエリートの終焉であり、個性無き大衆の台頭である。アメリカの責任者が、今まで責任者の庇護の下に存在してきた、責任無き者に変わった。

アメリカは最早世界にも国民にも責任が果たせなくなった結果の現れである。個性無き大衆国家アメリカ。今正に新しいアメリカが始まろうとしている。

ドルの信認は最早回復できる段階を過ぎた。ドルの国際通貨としての役割も、またその必要性も低下の一途である。ドルが国際通貨の地位を降りて徐々にローカル通貨になろうとしているのである。やがて世界の通貨の優劣がグローバリズムという試練の中で決定付けられる。

ドルの凋落にも関わらず、今なおNY市場は世界でもっとも自由で大規模な市場インフラシステムを維持している。アメリカ経済は世界からの資金の流入なしに存在できないのが宿命。アメリカ経済の生き残りはNY市場にかかっている。NY市場は、権威と、常に先端を行く金融インフラシステムと、規制無き徹底した自由のもとに、世界のどこにもない、またどこの国も真似の出来ない魅力ある市場にならなくてはならない。

21世紀は本物の世紀

今世紀までに我々が経験したことは、政治バブルと経済バブルであった。バブルとは泡であり「本物」ではない。今日まで我々人類はいったい何度バブルに酔いしれバブル崩壊で泣かされてきただろうか。21世紀は今までの反省の世紀でもある。1年間で原油が147ドルに上がり、30ドルに下がる。NYダウが14000ドルから7000ドルに下がり、ニッケイが18000円から、7000円に下がる。2007年から2008年は偽物と本物をいやというほど見せ付けられた1年であった。

2009年は世界の新年

アパート住まいながら、こつこつとモノを造り続けていた人が電話一本で何千万円も儲けてきた人に勝つ時代になった。信用の時代から現金の時代になろうとしている。泡の信用の時代は終わり、現金とモノのみが信用の時代になろうとしている。世界最大の借金大国から世界最大の現金大国へ、世界最大の債務国から世界最大の債権国へ時代が移ろうとしている。

日本に草木もなびく

我々日本人は本物の時代が来たことを認識しなくてはならない。我々は今こそ「波に乗って巧みに泳ぐ」(増田家家訓)の知恵を身につけ、対立を避け、戦わず、調和を求める国民にならねばならぬ。争いから尊敬は得られない。世界をリードするのではなく、世界のほうから従ってくるような国を築かねばならない。


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