第520号(2009年04月27日号)

増田俊男事務所 http://chokugen.com

今週のフォーカス

米国大手金融機関のStress Test(5月4日に発表)である。

簡単に言うと、銀行の資産評価と保有資金力の査定である。現在の不況下で大手金融機関は今後どれだけの資産が失われ、それに対して持ちこたえられるだけの十分な資金が確保されているかどうかを明らかにする。すでにWells Fargoをはじめ大手銀行の手持資金が潤沢であることはわかっていて、中には公的資金返済が可能になっている大手銀行もある。大手銀行のバランスシートが改善された最大の原因は連邦会計基準(159号)である。金融機関の生命である信用のバロメーター、債券価格は昨年からの世界的信用収縮で大幅に下落した。ところが債券価格が下落したことは債権返済額が減ったという理屈で、債券下落額を利益計上したのである(159号で認められている)。銀行の命である信用の下落を利益に摩り替えて作った好決算バランスシートのおかげで6週間連続して株価を上げることが出来たので大手銀行はStress Test前に自社株売りで潤沢な資金を手にしたというわけである。今後不動産価格は最低14%、最高22%も下がるとみられ、さらにクレジットカード、商業不動産の焦げ付きによる実損が銀行に押し寄せてくる。果たしてカラクリで出した利益で対応できるのか。

5月4日までに市場がそれを決めることになるが、政府と銀行の市場操作のお手並み拝見ということになる。

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