第539号(2009年08月11日号)

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21世紀の新秩序

今から約100年前、いち早く技術革新を成し遂げたドイツが台頭し、今日のアメリカに匹敵する大英帝国に脅威を与えるに至った。その時英国、ドイツそしてヨーロッパのエリートと為政者達は英国とドイツの違いを乗り越え共通意識の向上に努め、ドイツと英国による新世界秩序をうたった。そして結果は第一次大戦となった。
7月27日、28日、ワシントンD.C.で米中首脳会談が開かれ、前回の本誌で伝えたように、オバマ大統領は、


” The relationship between the United States and China will shape the 21st century “(米中が今後21世紀の世界を決定付ける)と述べた。首脳会談が行われている時から中国首脳が帰国の途に着くまで(27−30日)アメリカは史上最高額の国債の入札を行ったが、市場の常識に反して金利の上昇はなく、むしろドル価は下落どころか上昇に転じた。今週もアメリカはまた10兆円を越す国債入札を予定しているが問題は起きそうもない。


どこまで国債を発行してもドルが下がらない、金利が上がらないのも米中経済協力を世界に証拠付けるものと考えていいだろう。(現在中国はアメリカの景気刺激予算に匹敵する$763.5 billion (約76兆円)の米国債を買っている)


この米中首脳会談の成功を決定的にするために米中間でさまざまな事前工作があった。私のワシントンD.C.のパートナーは有力なロビイストであり、また米議会と主要軍事産業がスポンサーなので今回の米中首脳会談の成功のために大いに活躍した。私に「重要な話し」があるというので、来週早々ワシントンへ飛ぶことになった。


米中の経済協力関係の具体化と今後の米中スケジュールで本年中の世界経済の動向は決まる。(6月末のワシントン訪問後私の経済予測は今日まで全く狂いがなかったことを銘記してほしい:「ここ一番!」の記録をご参照ください。


今週末か再来週になると思うが、また重要な報告を「ここ一番!」などでする予定である。

アメリカの外交政策の大転換

クリントン国務大臣(外務大臣に匹敵)のインド訪問と先の米中首脳会談で明らかになったことは、アメリカの外交指針が従来の「要求押し付け型」から「協調型」に変わったことである。今後アメリカは中国を中心にインドとも関係を深めながら、協調外交を展開する。日本はいまだにアメリカに次ぐ第二位の経済大国だが、やがて中国に座を譲ることになり、IMFでも日本の発言力は低下し中国が日本に取って代わることは既にガイトナー米財務大臣が米中首脳会談で中国に約束している。アメリカは経済、政治ともアジアの三大国(中国、日本、インド)との歩調を合わせる方針である。もっとも政治硬直国家日本には形式的参加を求めるにとどまることは明らかである。

中国経済は世界経済を牽引できるか

中国の2009年度の経済成長は約8%になると予想されている。上海株は年初来80%も値上がりをしている。消費は前年度比16%も伸びている。内需も旺盛で中央銀行の6月度貸付高は22 billion(約2兆円)で前月比の倍である。


既に6月までで2008年の総貸付高を上回る勢い($1.1 trillion=約100兆円)である。中国のGDPに占める消費の割合はまだ40%だから、今後の内需拡大政策で消費が伸びる余地は十分過ぎるほどある。こうしてみると「中国経済が世界の不況を救う」と言われるのは当然のように思われる。しかしアメリカ経済のGDPが約1,400兆円、中国は440兆円だから世界シェアーでアメリカは21%、中国は6.4%である。やはり経済は数字であるから、間違いなく中国は将来世界にとって重要な役割を果たすだろうが、現在世界経済の頼りところはやはりアメリカをおいて他に無いのである。しかし今後G2(米中)の世界発言力が増すことは間違いないだろう。


また冒頭に述べたように、米中パートナーシップが何処まで続くかもわからない。もし中国が人民元市場拡大でドルにとって代ろうと目論むならアジアの、また世界の平和は維持されないだろう。

「ここ一番!」記録:

@ 6/10 株売り、ドル売り。A 6/24 ワシントン情報で修正、一転して株買い、ドル買い。
B 7/1 セミナーで全面買い。C 7/3 「ここ一番!」で全面買い。D 7/8 「ここ一番!」でナンピン買い。E 7/14 推薦銘柄(T)に連続買い。F 7/22 「ここ一番!」でニッケイ平均1万円割れは買い。G 7/29 「ここ一番!」で、更なるドル買い。H 8/5 「ここ一番!」でデイトレーダーに利益確定、あっという間に売値に戻ることを警告、一般投資家は利益確定せず、持続または下がったら買い増し。と言い続けてきた。

日経平均株価


外国為替(ドル/円)



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増田俊男の小冊子「目からウロコの5章19項」完売御礼!
7月28日より発売開始した増田俊男の小冊子「目からウロコの5章19項」は、大変好評で増刷分も売り切れとなりました。ありがとうございました。



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