第543号(2009年09月07日号)

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鳩山由紀夫よ、歴史に残る宰相たれ

昭和から平成の今日まで、歴史に名を残したと言えるのは、東条英機、吉田茂、田中角栄であろう。
確かに行政改革の中曽根康弘、郵政民営化の小泉純一郎などはそれなりの功績を残したが、「時代を代表した」とは言いがたい。
東条は、明治の建国以来西洋と協調して近代国家を造ることを基本路線とした日本を、西洋と対立する軍国主義国家にした。吉田は敗戦後、一時日本の主権の座に着いたGHQのマッカーサーと協調して、戦前の西洋協調路線、特に米国の庇護下で戦前の日本再生をはかり、結果今日の保守本流日本の根幹を築いた。
そして田中は日本を道徳と理念から乖離し、経済中心の時代に主導した。


さて今、日本の国民は政治の変化を求めて民主党に政権を与え、受けた鳩山は米国追従を廃し、保守政治の基盤となってきた官僚政治を否定する。もしこれに鳩山が成功するなら間違いなく新時代の到来となり、鳩山は吉田に次いで日本の政治史に名を残すことになる。


今後は理念と現実のギャップが鳩山の行方を塞ぐであろうが、小沢一郎が私欲を捨ててどこまでも鳩山を支えるなら日本に新しい政治の時代が来るのも夢ではない。新しい時代のためには理想に燃えた指導者を支えるエリート集団(シンクタンク等)、権謀術数に長けたよき参謀そしてよき敵が必要となる。
自説だが、今後日本経済も登り坂となる。我が家の家訓(波乗巧泳)の通り、鳩山が波に乗って巧みに泳ぐことを願う。

目指せ、主権国家日本

保守本流とは政・官の「持たれ合い」であり、「現状維持」である。国際競争の激化、戦争の時代といわれた20世紀にあって日本が保守の理念の下でリスクを廃し現状維持に徹してきたことは決して間違いではなかった。
21世紀はアジアの時代と言われ、アメリカと西欧の政治、経済力が下降線となる時代である。ここで民主の鳩山が明治の元老の理想であり、吉田の理想、すなわち日本が西洋との協調の上でのアジアの大国、主導国になることを目指すのは時を得たことではなかろうか。鳩山の理想と理念の前には現行憲法や日米安保がある。
現行憲法の理念と鳩山の理念とのギャップ、対米対等の理念と日米安保との差。一朝一夕で解決できることではない。また現在進行中の公共事業を凍結するのか改善するのか、子育て福祉、国民福祉実現の原資は?
政治の西も東もわからぬ140人を超える小沢チルドレンを連れて明日から迫ってくる理想と現実の矛盾にどう立ち向かうのか。勝利の熱が冷め、周囲を見渡せば、鳩山はおそらく寒気がするだろう。
マスコミと国民が鳩山に期待し、しばらく寛容であるうちに、アメリカを、中国を、またヨーロッパを新生日本再生の「援軍」にすることを勧める。これこそ岡田克也は天命とすべきである。
少数精鋭になった自民党は、今後姑息な民主攻撃は止め、鳩山の新しい日本再生のための「役に立つ敵」になって欲しい。私はとくにこのことを自民石破茂に期待したい。


「時代とは実に皮肉なものだ」と、日本の憲政史を知る者は思うだろう。吉田茂の末裔(麻生)が破れ、鳩山一郎の末裔が天下を取った。その鳩山一郎の末裔が吉田茂の理想を目指すとは。


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