木を見て森を見ず
私は10月株高説を述べてきた。ところが9月末から10月2日にかけてNYダウもニッケイ平均も急落した。原因は9月のアメリカの就業者数が前月(8月)より6万人減り、26万人の減少になったことでアナリスト達が一斉に景気回復にストップがかかり景気後退もあり得るとか、中には年初来最安値7021ドル(3月10日)に戻る可能性もあるなどとテレビで騒いだからだ。
年初の就業者数の減少は70−60万人であった。それが9ヶ月後の今日は26万人に半減している。
9月の雇用者数が8月より6万人減少したというが、見なくてはならないのは9ヶ月間のトレンドであって、ある一ヶ月間の増減ではない。アメリカの雇用者の減少は急速に改善されているのは間違のないトレンドである。NYダウが9929ドル(9/22)から9487ドルに442ドルも下げ、またニッケイ平均が10,767円の最高値から9,731円(10月2日)までほんの数日間で1,036円も下げる理由が何処にあるのだろうか。失われた日米市場の時価総額を計算したら気が遠くなるだろう。たった一ヶ月間の「木」を見て九ヶ月間の「森」を見ない結果である。こうした明らかな「間違い」は短期間で是正されるが、年中市場で起こすこうした冷静を欠いた間違いは人騒がせでは済まされないのではないか。投資家にとって大事なことはこうした馬鹿げた騒ぎは無視することだ。
分岐点ではなく、スタートライン
さて、第三四半期(7−9月)は、2日までの連日の下げを差し引いてもNYダウもS&P500の平均株価は15%上げている。この上げの大きな支えになったのは第三四半期の好企業績予想であった。今後上場大手企業の業績発表が続くが、Surprising profit (驚くほどの利益)が予想されている。しかしこれは前記の15%の株価上昇を正当化することになっても、私の10月からの株価高騰説を裏付けることにはならない。つまり今後発表となる企業の好業績はコスト削減とレイオフで実現されたものである。コスト削減もレイオフも何時までも続行できるものではない。だから前記の業績発表と達成された利益構造が明らかになると、Surprising profitはむしろ今期以降の企業業績不安につながる恐れがある。だから今後続く好業績発表で前期のように10月から株価が連続上昇すると思ってはいけない。
では今後私のいう株価高騰はあるのか。
答えは「ある」どころか「決まっている」のである。
それにはどんなアナリストも指摘してこなかった「アメリカの家計大革命」を知らねばならない。
アメリカの家計大革命なくして、企業利益が構造的な利益から真の利益、つまりハードとソフトの増産による売上利益に変わることはあり得ないのである。
私はこの売上利益を保証する家計大革命について、「アメリカ経済、ラスト・スパート」として語ることにしました。
請うご期待!
※増田俊男の「ここ一番!」のお問合せは、株式会社増田俊男事務所(03-3955-6686)まで
|