人口相場から本物相場へ!
NY株価が7月10日の8,146ドルから10月19日の10,092ドルまで約24%、3月9日の年初来最安値(6,547ドル)から約54%上昇したのは米企業の第三四半期の好業績予想と決算結果であった。当期の米企業好業績を生んだのは一体何であったのか。それは言うまでもなくオバマ政権の景気刺激策(約80兆円)と企業のコストダウンならびにレイオフであった。新規住宅購入者に対する税控除措置(1軒あたり$8,000ドル、11月末まで)や低燃費車への買換え優遇策(9月末で終了、1台3,500-4,500ドル)の恩恵で住宅投資と耐久消費財の売上が伸びGDP(国内総生産)を年率で3.5%押し上げマイナスからプラス成長になった。いうなれば前期の企業好業績(上場企業の80%が予想以上の好業績であった)とGDPの伸びは政府の景気刺激策と企業のリストラによる人工業績であった。これ以上のリストラが難しく、またこれ以上の景気刺激策が望めない今期第四四半期の業績はまさに本業(本物)に頼らざるを得ない。消費増による売上期待である。では今期はどのような経済環境に直面しているのだろうか。今週6日に発表される10月度米雇用統計の市場予想は雇用者数17.5万人減で、失業率は前回9.8%から9.9%に上昇する見込みである。失業率増加懸念で10月の消費者信頼感指数は大幅に低下し、前月9月の個人消費者支出は今年最大の落ち込みとなった。前記優遇措置(新規住宅購入)の期限前駆け込み需要は8月をピークに9月はすでに下降線となっている。このように今期消費の急速な伸びはまったく期待できないため企業の本業による業績は前期比で大幅なマイナスになると思われる(私は2桁減益と見る)。今後市場は今期の経済見通しに注目が移るので一定の時点まで株価は下降線をたどることになるだろう。
為替同報
今週は「金利週間」になるだろう。11月3−4日のFOMC、3日RBA(豪州中央銀行)、4−5日BOE(英国中央銀行)、5日ECB(欧州中央銀行)の金融政策決定会合が開かれる。RBAは既に利上げに踏み切っており、米、英、欧はいずれも出口戦略(利上げ)の見通しを発表することになる。今までのFRB議長と各地連銀総裁の発言から年内金融緩和政策は持続、利上げは来年に予想される。実際の利上げは来年後半になると思われるがFOMCでは時期を明示しないので、市場は希望的観測(年初)となりFOMCの発表はドル高要因となるだろう。目先では大半のヘッジファンドの決算が11月であることから比較的金利の高いユーロや豪州ドルを売って米ドルにシフトするのでこれまたドル高要因となる。とは言え、米財政赤字補填のため引き続き国債発行があるのでドル高には限界がある。またFRBは10月末で米国債の買取を終了したので市場への資金供給が減少し今期経済見通しの悪さに加えて株価の下落を加速させることになる。
私の予測通り今や株式市場は「落とし穴」に落ち込んだ。NYダウ、ニッケイ平均の下限(底)とその時期、また上昇へ転じる時期、ドル・円の上限(レンジ)については「ここ一番!」をご参照ください。
※増田俊男の「ここ一番!」のお問合せは、株式会社増田俊男事務所(03-3955-6686)まで
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