第566号(2009年12月18日号)

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Sub-prime(サブプライム)からSovereign Debt(国家負債)へ
3月からの道のり

2007年12月末から未だに脱しきれない世界不況のきっかけを作ったのはアメリカ発のサブプライム・ローン(信用度の低い住宅ローン)の焦付きであった。
本年3月からNY株価指数は概ね60%以上上昇している。
それはFRBがゼロ金利政策と量的金融緩和を続け、オバマ政権の財務省が膨大な景気刺激策を採ったからである。
先進国は勿論新興国の中央銀行はアメリカに倣って不況対策大型予算を組んだ。
NYをはじめ世界の株式市場がバブル化しているのは正にその効果である。
さてこうした国際的市場バブルは長続きしない。バブルは崩壊する宿命を持っているからである。
私が言う「オバマ・マジック」とは、バブルを崩壊させないで、「バブルという仮需要を実需に切り替えようとする」、一見不可能なチャレンジである。
アメリカの失業者数も毎月減少してきているし、新築住宅着工件数も飛躍的に伸びてきた。
さらに心強いのは限界に来ていた貯蓄性向が下がりだし、連れて消費が伸び始めた事実である。貯蓄から投資と消費に資金が移動する速度と量とタイミングに合わせてFRBが金融引き締め(出口戦略)をすれば、バブル崩壊無しに、株式市場を高止まりのまま実体産業の指標に切り替えることができる。
このオバマ大統領のマジシャンとしてのカリスマ性とバーナンキFRB議長、ガイトナー財務長官の呼吸の合った演出があって初めてマジック・ショーは成功する。

最後の難関が待っている

それは先般のDubai World(ドバイ政府系投資会社で約$60billionの債務返済延期を発表した)に見られるような国家の債務超過問題である。
これはFRBがG20などで主導した際限なき不況対策予算のツケである。
歳入でカバーされる予定も無く、また不況が故に増税も出来ず、ただ必要だから、緊急だからで、いわば無制限歳出大型予算のツケである。
アメリカを始め「緩やかに不況を脱し、もはや後戻りは無い」という観測の前に、今や「国家財政破綻」という投資家だけでなく社会全体に負の影響を与える事態が起きようとしている。
最も代表的な例がギリシャである。今ギリシャの新政権(社会主義)は$350billion(約32兆円)の債務支払いが困難になっている。2010年から財政支出を10%カットするといっているが、そうなれば不況は一層深刻化する。こうした問題を抱えている国を列挙すると、ギリシャ、アルゼンチン、エクアドル、メキシコ、スペイン、ボリビア、等々数知れぬほどある。国家の債務がGDP比60%を越すと危機状態とされるが、その意味ではアメリカも55%に迫っている。日本の債務はGDP比170%だから超危機状態ということになるが、国家の負債はほぼ100%国民が持っていて海外の債権者はいないという、歴史上例の無い超国民犠牲(経済的国民奴隷制度)だから日本の国債の信用度はGDP比170%という最悪でも最高クラスなのである。
さて来週からNY市場でSovereign Debt(国家の負債)が何処まで問題化するか、見物である。意外と軽く済むか、済まないか、予断を許さない。

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