第571号(2010年01月15日号)

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もうしばらくすると?

「21世紀は変化の世紀」と述べてきたが、これから起きることは変化を象徴する事件である。


1.Trade Warの激化


『時事直言』(1月12日号)で米中間の貿易戦争の報復合戦の実体を日を追って解説しました。今後米中双方関税強化の応酬が激化することは間違いないでしょう。今アメリカ議会内の雰囲気は対中国けん制から攻撃に変りつつあります。今まで保留されていた台湾へのPAC-3(対ミサイル砲台)供与を決定したのも受身から攻撃に変った証拠です。当然のことながら中国は報復措置として早速台湾海峡向けにミサイル実験を行いました。
今や中国は保有米資産減の犠牲を覚悟すればドル債権売りでドルの崩壊ばかりか米経済そのものを破綻に追い込むことさえ出来るようになっているのです。
中国は今や経済の世界でアメリカも、ヨーロッパも持ち得ぬ経済核爆弾を持ったのです。

ハワイでヒラリー米国務長官と岡田外務大臣が普天間基地移転問題で会談をしましたが、日本側が要求した普天間基地移転先提案時の5月まで延期を難なく受け入れるなど明らかにアメリカは弱腰になっていることは確かです。
アジア諸国は将来の中国の軍事、経済覇権を恐れ、アメリカに安全保障の強化を望む反面自国の経済力増進とアメリカの弱体化から従来の軍事アメリカ一辺倒から新しい政治指針を模索し始めています。



2.オバマ大統領のダライ・ラマ(チベットの精神的指導者)会談


先の2009年の米中首脳会談前に予定されていたオバマ・ダライ・ラマ会談は中止されましたが、本年中に会談が持たれるのは必至になってきました。貿易摩擦、台湾問題再燃、そしてダライ・ラマ会談となれば米中関係が冷え込むのは間違いないでしょう。
鳩山由紀夫首相が次期中国総書記をわざわざ慣例を破ってまで天皇陛下の謁見を実現したことは今後の日本の対中姿勢をアメリカに印象付けるのに十分であったと思われます。今やアジアにおけるアメリカの経済、軍事上の地位が大きく揺らぎ始めているのです。



3.オバマ人気の急落


 オバマ人気に雄弁は欠かせない要因でした。オバマ大統領が主張した政治の変化とはオバマ大統領のために膨大な選挙資金を出した労働組合に国家の利権を移すことであったことが明々白々となってきました。オバマ経済政策の基本は金融市場の投機化とバブル化で実体経済を煽る戦略であったこともわかってきました。ところがアメリカ人は夢と希望を求めるのが好きですからオバマ大統領に夢を託してきましたが、反面現実主義者でもあることから、いまや現実に目を向けるようになってきました。オバマ大統領は300万人の雇用創出を約束をしましたが、実際は失業者が700万人も増えました。
夢から覚めた国民の目は今や結果を追求し始めました。出足好調だったマジシャン・オバマの術が効かなくなってきたのです。今後は株価とオバマ人気は正比例することになるでしょう。


もう待てないイスラエル

イスラエルのガザ地区占領は時間の問題でしょう。ガザ地区がハマスの支配下にある以上イスラエルの安全はないからです。イスラエルは最早弱体するアメリカに従うことはないでしょう。自国の安全確保が自国の責任であり権利であることは独立国の憲法の基本だからです。中東の地図を塗り替える長い中東戦争が起きようとしています。
アメリカの軍事力の後退は世界を野心の渦に撒き込むことになるでしょう。

経済においても、軍事においても、20世紀中に経験しなかった、また考えることが無かった、まるでマグマのような灼熱の、破壊的エネルギーが、音も無く迫っているのです。民主主義という見えざる支配・搾取哲学は最早陳腐になりました。これからは共存・共有というコンセプトの新たな支配哲学が必要になってきたのです。
早く頭を切り替えないと、21世紀でもまた置いてゆかれてしまいます。


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