Health Care Reform(医療保険改革法)成立!
米下院は3月21日、昨年クリスマス・イブに上院が通した医療保険改革法案を220対211の小差で可決した。正に世紀を掛けて争い続けた問題がついにオバマ大統領のもとで解決を見たのである。これで国民の特典ではなく権利である医療保険がようやく3,200万人の無保険者に与えられることになった。
私は100年ぶりにアメリカがこの法案を立法化したことで、とうとうアメリカが世界に先駆けて21世紀の変化の時代に入ったのだと感じた。(21世紀の変化によって市場がどう変わるかについては私の「小冊子・Vol.10」をご参照ください)
Health Care Reform(医療保険改革法)成立!
資本主義を主導し、自由と競争が基盤のアメリカは勝者と敗者の社会である。
今日までの資本主義の代表国家アメリカには3,200万人の敗者を勝者が100%救済する理由はなかった。医療保険改革法に要する費用9,400億ドル(約85兆円)は年収20万ドル(1,800万円)以上の所得者と配当や譲渡益など投資利益に対する増税で賄うことになった、つまり100%勝者の負担で敗者を救うのである。
20世紀、特にアメリカを中心とした先進国は戦争も辞さない競争の応酬で富国と高度経済成長を極限まで高めた。そして5人家族が5台の車を持つに至った時、先進国の経済成長は止まったのである。成長が止まった高度成長社会に必要なものは何であろうか。さらなる競争なのか、それとも、競争の精神とは裏腹な人間的富の配分だろうか。アメリカの国民はオバマ大統領が標榜した「変化」を選んだが、はたしてオバマ大統領も国民も、競争の結果からは決して生まれることのない「平等」を自ら選んだ「変化」に気が付いているだろうか。
今、我々は歴史の流れが変わり、市場の流れが変わろうとしていることを知らねばならない。当然のことだが株式、債券、為替、商品市場の流れも変わる!
それは人類にとって大切なものが変わりつつあるからだ!
鳩山内閣は高校授業料無料化、子育て予算に5兆円を配分することを決めた。
不況から脱却出来ずデフレが続く日本経済の現況下でもし5兆円を内需拡大投資や事業税減税に投下したなら日本経済は競争力が高まり瞬く間に好況に向かうだろう。
鳩山内閣5兆円の決断は明らかに競争ではなく平等の方向である。問題は、日本ははたしてアメリカのように規制が緩和されて競争が頂点に達した国なのか。あるいはまた先進国中で中産階級が最も多くかつ国民皆保険の日本ではむしろ平等が行き過ぎているのではないか、もう少し競争の方向に向かうべきではないのかとの議論もあるだろう。次の選挙では是非とも「日本が向かうべき方向」を争ってもらいたい。
いずれにしてもこれから私は、21世紀に向かって来る先進国と、先進国が昇りつめた坂道を必死で昇ってくる発展途上国が共演する絵巻物語を観劇しながら、そこから出てくる結末(Outcome)を、「ここ一番!」や毎月の「小冊子」でお伝えし続けるつもりである。
*本日の「ここ一番!」は、「断言!株価、為替、金価格、原油価格動向」です。
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