第583号(2010年04月06日号)

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心温まる日本の誇り

今日トロントの地下街を歩いていると、アジア系レストランの入り口に「2時から6時まで30%割引」のサインが目にとまった。仕事が長引いた為まだランチをしていなかったので看板につられて入った。お客はバー・カウンターに4、5人とテーブルは1組だけだった。海藻サラダとエビと野菜のライス付きのてんぷらを一品だけ注文した。予想通り二人でも食べきれないほどのてんぷらが来た。暇なのかマネージャーがあいさつにきたので、30%引きでこれだけの品ならリピート客が増えるでしょうと聞くと、実は当店の80%がリピート客ですと言う。
私たちが日本人であることを知ると、自分はバングラディシュ人であると言い、日本の”Monbushow” (文部省)に感謝していると言い出した。よく聞いてみると月謝が払えない何百人もの学生が文部省のおかげで日本に留学して、中には博士号まで取って帰ってくる。多くは医者や技術者になって国の支えになっている。学生はアメリカへの留学は好まない。それは利己的で自分だけ金持ちになることを教えられるからだ。自分は毎月受け取るチップで中古のPCを国の孤児院に送り続けてPC教育をしてもらっている。子供たちの中からいつかきっと国民のために尽くす人間が生まれてくると信じている。自分は金持ちではないが、自分以上の人間が一人でも生まれてくれたら幸せだと言う。いきなり財布から50ドル札を取り出し、実は10日前にお客さんが50ドル余計に払った、チップかもしれないが、間違ったのかも知れない。だからこうして財布に入れお客さんがまた来るのを待っているという。
毎日止まることのない諸問題に押し流されまいと苦闘を続けている中ですっかり自分を見失っていたことを知らされた。心が洗われる思いをしたひと時であった。

アメリカ経済は自律出来るか?

異常な超金融緩和、超大景気刺激予算等々の国家的、国際的経済支援策は本年10月で終了する。いや継続出来るだけの財政状態にある先進国はない。
FRBと財務省が行った史上最大の支援策の結果はどうだろうか。失業率は9.7%台から下がる気配はない。経済成長にとって最大要因である消費は住宅価格が低迷しているので伸びない。「景気は回復した」という掛け声だけが頼りなのがこれからのアメリカ経済である。私が本年2月から言い続けてきた「7月までは本格的上げ相場」は逆に言えば、「秋口からはお先真っ暗」ということ。
アメリカ経済が内需による自律回復が無理なら外需となるのだが、肝心の中国経済は今年後半から成長に陰りが出ることは確実である。人民元の切り上げを視野に入れればなおさらである。心理と現実の差が何時明白になるだろうか。
それが問題である。
久し振りに私の、さらに元気な声をお聞きください。


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