第584号(2010年04月15日号)

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中国の対米経済政策が世界経済を変える

私は「ここ一番!」、「小冊子」の読者や、CD・テープの常連の皆様に世界経済、なかんずくアメリカ経済の動向と株価、為替、金などの大まかな傾向を述べてきた。前回の本誌(583号)では「アメリカ経済は自律できるか」についての問題を提起した(詳しくは発売中のCD・テープをご参照ください)。2007年末から続いた不況から世界経済の流れが大きく変わった。
変化とはアメリカが世界経済の中で主導力を落としたと同時に中国の影響力が大きくなってきたことである。世界経済の中での一国の影響力はその国への他国の依存度で決まる。
戦後から最後に産業革命をして大量生産体制を確立し、さらに戦争で無傷のアメリカは世界に復興資金を供給し、生産された世界の製品を輸入することで世界経済を支えてきた。アメリカの豊富な資金力と消費力でアメリカの通貨ドルが世界が認める基軸通貨となったのである。ところが1971年8月のニクソン・ショック以来アメリカは脱工業化を推進し輸出大国から輸入大国に、また世界最大の債権国から債務国へ、工業国から金融・ソフト大国へと変転した。世界経済の復興による生産過剰化を輸入大国になったアメリカが支える形でアメリカの世界経済主導が続いた。しかし恒常的債務の他国依存度が増大し金融における独立性が低下してきた。最近までの金融不況(信用収縮)は常にアメリカが発端となって起こったがアメリカは自ら起こした金融不況をコントロール出来ず、アメリカの世界金融への指導力低下を世界に示すことになった。
世界の資金、外貨準備は中国をはじめアジアの発展途上国に累積しアメリカの金融政策は海外資金の取り込みが主要となってきた。
人民元の米ドルペッグ制は中国が今まで安定的に外貨を導入するのに役立ってきたが、中国経済がアメリカに代わって世界経済への影響力を高めてきた今日自国通貨が他国通貨(米ドル)に連動する体制では自主的金融政策が採れないことになる。アメリカに「おんぶにだっこ」だった中国に今度は逆にアメリカがおんぶされることになってきた。
今後の世界経済の行方は中国の対米経済政策にかかってくる。
中国にとって万博はオリンピックに次ぐ国威掲揚のチャンスだが、経済オリンピックで金メダルの中国はアメリカを等外に落とすことなく銀メダルにとどめるだろ。それが中国がアメリカに代わるパックス・チャイナへ向けての適切なステップだからだ。
*中国の将来は今発信のCD・テープをご参照ください。


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