落ち着くところへ落ち着くか?!
「政治も経済も安定し持続的発展が始まるのは来年2011年春(3月)から」と述べ、また目先7月と10月に株が高騰するとも言っている。
前号(589号)で2010年の経済における変化とは「マネー経済から実体経済」であるとこれまた繰り返し述べた。
信用収縮を終息させるために各国が供給した超低金利の大量マネーが実体経済から遊離して市場で乱舞した結果2009年3月から2010年4月まで市場をマネー・バブル化したことも何度も述べた。
アメリカが世界に主導したこのゼロ金利、量的金融緩和政策は間違いなく破綻に追い込まれた金融システムの救済と再編成には成功したが、一方でギリシャのような財政弱体国に財政危機の弊害を残した。
「金融危機や財政危機で国家経済が破綻することは絶対にない」は私の持論であると同時に世界経済の歴史によって証明されている。
「信用収縮(金融危機)も財政危機もマネー(金)を供給すれば解決できる問題である」からである。しかし「実体経済が破綻したら国家経済は破綻する」。
マネーというお札では鼻もふけないし、いわんや飯の足しにはならない。
飯を食わねば人(経済)は死ぬのが真理。
さてこの世界で、世界に通用するマネーを供給できるのはアメリカだけである。ユーロも、人民元も、円もローカル通貨と言って世界に通用するマネーではない。
従って米ドル以外の通貨は一時的には地方国家の金融、財政問題に役立つが、今日のように経済に国境がなくなり一国の金融、財政不安で世界市場が混乱に陥るような時代では最終的にはアメリカでなくてはたとえ世界の辺地であってもその地方の金融、財政危機が解決されることはないのである。
ヨーロッパの財政問題でユーロが下がったが、ヨーロッパ経済はこのユーロ安のメリットで対米輸出がどれほど増加するかに掛っている。これまで以上にアメリカへの輸出が増えなくてはユーロ経済圏はデフレ・スパイラルに陥るだけである。
では、アメリカは今?!
アメリカの経済はその世帯(Households)を見ればわかる。
最近のAP通信のアメリカ家計の経済的ストレス調査によると「ストレスを感じない」が初めて53%と半分以上になった。
家計の借金は前年比1.7%減少し$13.5 trillion(約1,230兆円)になったが、これは戦後最も大きな減少である。さらに貯蓄性向は4.2%でこれまた1998年以来の高率。出来る限り節約して借金を減らし貯金を殖やしているアメリカ家計の姿が浮き彫りである。
5月になってマネー(金融)バブルはさほどのパニックを起こさず崩壊したが、では次に崩壊するのは何だろうか。
崩壊という言葉は適当でないかもしれないが、それはアメリカの「節約」と「貯蓄」に関係がある。つまり、何時家計の節約が限界に達し、貯金が消費に向かうかである。
我々投資家が今狙わなくてはならないのはアメリカの家計(Households)の態度が一変するこの瞬間を捉えることである。アメリカ経済のTurning point(転換期)の瞬間こそ我々投資家にとって最大の妙味なのである。
「ここ一番!」は正にここ一番に発信される。
ご期待ください。
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