第592号(2010年06月14日号)

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他力本願、オバマ・マジック大成功!

市場が、アメリカ経済は景気回復に向かっているのか、まだ不況が長引くのかと迷っているところへギリシャを皮切りに欧州の連続信用不信問題がスペイン、ポルトガル、ポーランド、ハンガリー、さらに今後ブルガリアに広がる様相となり企業、消費者共に再び景況感が冷え込むことになった。


その結果株価は年初来高値からNYで1,000ドル、ニッケイで1,000円以上の下げを演じることになったのである。
私は前回の小冊子「嵐の後に何が来るか(5月17日号)」でアメリカは欧州金融不安を上手に利用した。その結果が今回のNYの中暴落だと述べた。
オバマ大統領はEU(欧州連合)に早期解決の圧力を掛け、また欧州中央銀行(ECB)をはじめ世界の主要中央銀行は欧州問題国の債券購入とドル放出で信用不安の拡大阻止に動いた。アメリカは待っていましたとばかり市場を通してドル余剰資金を吸収した。NY株価が下がったのはアメリカがドル市場から回収したからであり、結果アメリカの銀行に余剰資金が累積した。


先の小冊子では述べなかったが、今回の欧州信用不安を利用してアメリカは実体産業主導による景気回復を不動のものにしようとしている。
それは欧州信用不安で米国債が安全資産として買われることによって米国債金利の大幅に下落するのを巧みに利用することである。
アメリカの信用力の高い製造業は今一斉に社債の発行を急いでいる。
Abbott Laboratories Group(大手薬品会社)などは4.3%という過去最低金利の社債発行に踏み切った。他の企業も右へ倣えで続々と社債発行の準備をしている。
今後の景気回復に備えて設備投資の時期をうかがっていた企業は低コスト資金調達の絶好のチャンス到来と認識しているのである。


私が言う「オバマ・マジック」とは、アメリカがマネー・バブルで景気を押し上げておいて、わずかな犠牲(バブル崩壊)で実体産業基盤の景気回復に切り替えることであり、それには「何かのきっかけ」が必要であると言ってきた。
平和から戦争政策に切り替えるのに9/11(セプテンバー・イレブン)が必要であったのと同じことである。
欧州信用不安はアメリカ経済を金融(ソフト)から実体(ハード)に切り替える正に最高のきっかけとなったのである。
「アメリカの繁栄は常に他国の犠牲の上に成り立つものである」は常なる私の持論である。
さて、アメリカ最大の問題点である雇用も今後2年間で急速に改善される。
実体産業の設備投資は今後旺盛になるからである。
現にアメリカの自動車産業は今後2年間で30万人の正規社員を募集すると発表している。
2007年以来赤字続きで一時は危険視されたアメリカ各州の財政は本年度から揃って黒字転換された。
第4四半期からは中国の経済成長の鈍化とユーロ安を背景にしたEU圏の国際競争力強化(アメリカの競争力低下)で一時景気が落ち込むが、2011年第二四半期からは急速に景気は回復するだろう。


今後政治にも経済にも2度の「動転」がある!
政治も中東で動転!
経済では、サナギからセミが生まれる。
ではセミがミンミンと鳴くのは何時からで泣き終わるのは何時か?


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