財政赤字にもいろいろあります
日本の累積財政赤字はGDP(国内総生産)比200%に達しようとしている。
万年赤字国のアメリカでさえ約60%なのだからいかに日本の赤字が大きいかがわかる。
日本の財政赤字が天文学的であるにも関わらずギリシャを発端にスペイン、ポルトガル、イタリア、ハンガリーに飛び火した欧州財政問題で再び世界が信用不安に陥った時日本の円は安全通貨として買われた。
数字の上で世界一の財政赤字を抱える日本の通貨が何故世界一安全なのか。
またGDP比世界一多額の国債(Debt)を発行し続ける日本の金利は何故世界一低い(ゼロ)なのか、国債を乱発すれば金利が上がるのが経済の原則である。
政治的にも日本は異例である。
自国の安全を自国の責任としない国は世界に例を見ない。
財政赤字がGDP比200%もあるのにODAなど他国への経済援助で世界一、二を争う国も異例である。
竹村健一先生は「日本の常識は世界の非常識」と言われたが、経済では経済の原則が、また政治では政治の常識が通用しないのが日本である。
菅総理が何を言おうと世界の政治は無反応。また白川日銀総裁がどんな金融政策決定をしようが世界市場は無反応。
では日本の国民はどうだろうか。
日本の国民は先進国の中で最もカネ持ちである。
60歳以上の平均預金高は2,000−3,000万円。
世界ダントツである。
何故世界一借金の多い日本の国民が世界一カネ持ちなのか。
それは、日本の国民は日本政府という借金王のほぼ100%債権者だから。
日本政府の債務が増えれば増えるほど国民の債権(資産)が増え続ける。
自国の債務のほぼ100%を自国の国民が持っている国は世界に例を見ない。
20世紀から21世紀の最大の変化はグローバル化である。
「私のモノは貴方のモノ、貴方のモノは私のモノ」の時代である。
だからアメリカの借金の50%以上は中国、日本、ヨーロッパが持っている。
くどいようだが日本の借金はほぼ100%日本の国民が持っている。
GDP比200%の日本の借金は、対外債務ではないから世界から見れば借金ではない。世界から見て借金のない国の通貨は世界が信用危機に陥ると当然のこととして買われるのである。
日本の金融政策の基本は江戸時代から今日まで一貫して、「私のモノは私のモノ」の鎖国政策なのである。
当然鎖国政策に守られて国民は世界一カネ持ちの地位を維持している。
これからもこれでいいのか悪いのか。
それは債権者(国民)が決めること。
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