第607号(2010年09月27日号)

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市場参加者の敗者と勝者

「理論を採る者は敗れ、事実を採る者は勝つ」!
これは私の持論である。
「円高になると輸出が落ちるからマイナス」というのは「理論」である。
事実は、円高は(生産調整済みの)輸出企業の原材料と半製品の輸入コストを下げるのでプラスである。
ここのところの円高続きで日本の投資家は輸出銘柄を売り、外人は買い続けている。
外人は事実ベースで買い日本人投資家は理論で売っている。
結果は言うまでもない。外人が勝ち、日本人が負ける。
私は前々回の「小冊子」と「ここ一番!」で、「2011年アメリカ経済は急成長しバブル化する可能性さえある」と述べ、それを可能にするのは「アメリカの住宅産業である」と述べた。
以来アメリカから入って来る住宅に関する情報は「悲観的なニュース」ばかりで「増田は何を言っているのだ」と思っている読者も多いと思う。
9月24日付け米商務省の発表によれば新築住宅の販売数は1963年の統計開始以来最悪であった。
もし日本なら住宅関連は売られるだろう。ところがNY市場では住宅関連企業の株価指数を表すHomebuilding Indexは上げ続けている。
「最悪は買い」という習慣法と、あまり注目されていない他の重要な「事実」があるからである。
その事実とは、「新築住宅の価格が中古住宅の価格に接近してきた」ことである。
これは2007年末現在で200万戸と言われた住宅の過剰供給が解消されたことを意味する。今後の買いが新築住宅にとって変わることは間違いないのである。
しかも今一戸建て新築住宅の売り上げが最悪であると言うことは新築住宅が底を打ったことの証明でもある。
NY市場ではここのところテクノロジーが下げ住宅が上げている。
これで私が述べた、「やがてNY市場は住宅産業がけん引車となって急回復する」と述べた意味がお分かりになったと思う。


住宅産業は労働集約産業。新築住宅の需要は雇用を増大させ、住宅価格の上昇は世帯の含み資産を増やし、世帯の信用増加は消費を押し上げる。
オバマ大統領の「輸出倍増計画」(円高政策)による外需拡大戦略は住宅産業による本格的景気回復までの「つなぎ政策」でしかない。
従って今後の為替動向はアメリカの住宅産業の動向に左右されると言っておきたい。


ところで今入ったニュース:
昨年私のワシントンD.Cのパートナー(軍事産業を代表するロビイスト)Mr. Dを通してオバマ政権に再現を進言していたThe American Job Creation Act 2004(海外の米企業の利益を米国本国に送るなら事業税を35%から5.25% に引き下げるという時限立法)の再現が今週上院で審議されることになった。
現在海外の米国法人の余剰利益は100兆円以上ある。
2004年では約30兆円が本国に帰り2007年10月までの株価高騰に貢献した。
George Town University のMr. Andrew L. Stern氏によると、いま再現すれば240万人の雇用増になるという。
私は財政負担なしの最善の景気刺激策として主張し続けてきた。
議会を通過すれば2004年から2007年にかけてのような株価急騰が期待できる。


円が今後何時最高値を付け、また何時から下げ始めるか、株価、ゴールド、原油等の動向はどうなるか?
引き続き、「ここ一番!」と「小冊子」(今までの2冊分のボリュームの大作を準備中)のアップ・デートの情報にご注目ください。
読者だけは常に勝者になってほしい。


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