4年ぶりの米中首脳会談
1月18日中国の胡錦濤国家主席がワシントンD.C.を訪問、米中首脳会談が開催される。
4年前ブッシュ大統領の時は昼食会であったが今回オバマ大統領は国賓待遇でホワイト・ハウスでの晩餐会でもてなすことになった。
アメリカはサブ・プライム・ローン問題で2007年末からの信用不信による世界不況の原因を作ったが、中国はアメリカはもとよりヨーロッパ諸国の国債(借金)を引き受け続け、むしろ不況からの救済役を演じてきた。
不況を起こした国の大統領が不況の救済に貢献した国の国家主席を最高待遇でもてなすのは当然だろう。
米議会から中国の人道問題を理由に最高待遇に反対の声が上がったがオバマ大横領は無視した。
今や中国はアメリカと共に世界の政治・経済に大きな影響を与える存在になった。しかしここのところ(2010年後半から)中国は政治的に劣勢に立たされているので若干解説することにした。
2010年11月、北朝鮮による韓国の孤島に対する砲撃は、本誌で解説した通り、東シナ海での日米韓の大規模軍事合同演習を正当化し、中国の制海権拡大にストップを掛ける結果となり、中国は6カ国協議開催を求め緊張緩和をはかろうとした。
しかし南北朝鮮が緊張状態にある限り日米韓軍事共同体制(日米韓三位一体)は不変だから日米韓は北朝鮮が核施設廃絶の合意を履行しない限り6カ国協議開催には反対する姿勢である。中国は北朝鮮の対韓砲撃以来軍事的に日米韓に対して不利な立場に置かれているのである。
また12月10日、ノルウエ―の首都オスロ―でノーベル平和賞の授賞式が開かれたが、天安門事件で指導的な役割をした劉曉波氏(中国で獄中)に受賞が決まったことから中国政府は劉氏の出席は勿論家族の外出まで禁止した。また当時開催中のカンヌ映画祭(フランス)への中国映画アカデミーのメンバーの渡航までも禁止した。その他多くの人道主義推進運動家、平和愛好団体などの活動は禁止され、一部の運動家は自宅やホテル等で監禁状態となった。
こうした中国政府の言論の自由、集会の自由等基本的人権に対する弾圧に世界から批判が集まった。こうした中国にとって、いわば四面楚歌の状況下で米中首脳会談が開かれる。
2009年オバマ大統領の訪中の際、「戦略的信頼関係」など米国民が喜びそうな声明は数々あったが中国は今まで何一つ実行していない。中国のこうした現状から今回の米中首脳会談でオバマ大統領は今まで(2年前)とは異なり強い態度で人民元切り上げ問題と人権の履行を求めることになるだろう。それを予期して中国人民銀行は1月13日人民元の海外投資解禁を中心にした資本取引自由化へ一歩踏み出した。しかし、人民元を低く抑えるためのドル買い人民元売りは今後も続けるから米議会の対中批判は絶えないだろう。今回の措置は世界の金融緩和で中国に流入し続けて物価インフレの元凶となった資金の還流には役立つ。一方、人民元の海外投資解禁でかつての日本のように、中国のバブル紳士がアメリカの不動産を買いあさることになるからアメリカの不動産価格上昇に貢献し景気浮上に役立つ。また、胡錦濤主席は人権問題はMutual Respect(相互の立場尊敬)と内政不干渉でかわすことになるだろう。
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