第639号(2011年3月20日号)

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菅内閣一週間の政治失敗

大震災突発に際して菅内閣は(政治的)「素朴」な失敗を犯した。それは「非常事態宣言」と「市場の一週間取引停止」を行わなかったこと。
3月11日東北を襲った大震災は間違いなく日本にとって非常事態であった。
マグニチュード9.0と言い、被害地域の広大さと言い、犠牲者の数と言い、世界経済へのインパクトと言い今回の災害が非常事態であることは明白である。
ならば何故菅内閣は非常事態宣言を日本と世界に発しなかったのか。
非常事態宣言はまた国家権力を一時的に官邸に集中することをも意味する。
非常時に必要なことは政治のイニシアティブであり、その為に必要なことは権力の一本化である。菅内閣は愚かにも国家非常時に政治の常識を欠いていた。
2001年9月11日ニューヨークのワールド・トレード・センターが同時多発テロに見舞われ、4,000名弱の犠牲者を出したことはご記憶の通り。
被害地はニューヨーク市街の一画だけで東日本全域に及ぶほど広大なものではなかった。それでもブッシュ大統領は株式市場を一週間取引停止し、「憶測」による世界市場の混乱を避けた。
福島第一原子力発電所の恐怖でニッケイ平均は一瞬にして2,000円超の下げとなり時価総額は50兆円(国内総生産の約10%)も失われ、世界市場は大混乱を来した。
この一週間を振り返って、政治が出来る者と出来ない者の差をまざまざと見せつけられた。

政治リスクを回避せよ!

すべきだったことを数えても仕方が無い。それより今後菅内閣としてすべきことを述べておきたい。
今すべての日本人と世界が日本に期待していることは何か。それは「希望」である!菅内閣が大災害10日後の今、すべきことは「国民の希望に必要な目標を絵に描いて見せること」である。それは「無利息、非課税の建設国債による復興予算20兆円(?)の早期発表」であり、「東日本列島改造計画の早期策定」である。大災害を機にすべての国民の希望を「日本再生」に主導することが菅内閣の急務。災いを福に転じるのも又政治の務めである。

では菅直人総理は今何をすべきか。

それは与野党結集してこの国難に当たることである。
理想を言えば与党も野党も党利党略を捨てて世界から称賛を浴びている尊い国民の代表として一致団結して「与野党大連合」で国難に当たることである。
菅総理が自民党総裁谷垣氏に大連合の打診をしたところ「政策整合がないままでは応じられない」という屁理屈で断られた。政策整合はプロセスであって政治目的でなない。党利優先国益無視の自民党決断である。
かくなる上は、菅総理は改めて与野党参画、期限2年間の「暫定復興内閣」の必要性を国民に訴え、心ある野党議員一人一人を説得するしかないのではないか。とにかく今必要なのは挙国内閣。国会フル回転で難局を乗り越えなくてはならない。停滞気味の日本経済は20兆円にまで及ぶであろう復興予算がカンフル剤になって急速に成長に向かうだろう。
もし菅内閣が与野党結集に失敗し、相変わらずの党利党略、ねじれ国会を放置するなら、「災い転じて福となる」どころか「災い転じて悪夢と化す」だろう。今世界市場は「尊い家柄」(アインシュタイン曰く)の日本人と日本の復興投資に大きな期待を寄せている。しかし同時に日本の「政治リスク」を見極めようともしている。「日本は必ず困難を克服出来る」という国際社会の期待を与野党は決して裏切ってはならない。


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