第655号(2011年5月31日号)

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Oil talks 「原油がモノを言う」!

原油が「経済の米」(経済の原動力)の座を降りるまでには50年以上かかるだろう。今世紀はまだ「原油を制する者が世界を制する」ことに変わりは無い。
アメリカの金融緩和終了(6月末)、ギリシャその他ヨーロッパ諸国の財政危機、日本の大震災による生産低下、中国の度重なる利上げと銀行窓口規制等々で世界的に原油需要は減退するが、間違いなく今後原油価格は高騰する。
中国の需要が大きいと言っても需要の伸びは前年比で15%前後でしかない。
ゴールドマン・サックス(NY) の原油価格の予想は年内130‐150ドルとなっているがその根拠の説明は説明になっていない。つまり言えないのである。


ここで原油価格を決めるのは市場ではないことを明確にしておかねばならない。
先ず原油の埋蔵量はオペック12カ国と中東諸国で世界の76%を占めている。
次に生産量であるが1日の世界の生産量は約8,300万バーレルでサウジ、ロシア、アメリカ、イラン、中国、カナダ、メキシコ、アラブ首長国、クエ―ト、ベネズエラの10カ国が65%を占めている。
原油価格はオペックなど中東産油国の首脳、精製を引き受けるアメリカの大手石油会社、アメリカの投資銀行とマーケットを主導するヘッジファンドによって決まる。
アメリカ政治は現在約50%の原油海外依存度を100%自主供給にすることを目標にし、原油価格を高騰させることでテキサスやアラスカの原油開発の採算性を高めようとしている。サウジを中心とした中東勢はアメリカより中国により多くの原油を供給することで政治的にも中国と接近して従来のアメリカからの精製と金融による支配から脱却しようとしている。
アメリカの石油資本と投資銀行(金融)が原油価格を高騰させるためには原油価格を需給で決定させないことである。
その為、原油価格を年率50‐60%のピッチで高騰させている。
オイルショックはすべて人為的な所産だが、過去のオイルショックの値上がり率をみると下記の通りである。
有名な1974年の第一次石油ショック:73年12月から74年1月 135%、90年6月から同年10月 95%、2009年2月から2010年4月 107%、そして現在110円をつけ前年9月から50%以上の値上がりになっている。
過去現在の年率上げ幅は49%である。金と共に原油は価格操作で確実に上昇する宿命にある。中国政府は原油価格の値上がりに対して企業に補助金を出しているから益々原油価格は需給からかい離して行く。
原油の高騰が何故宿命かは、アメリカのエネルギー自立がアメリカの宿命だからである。
資本主義社会では「支配」が国益である。
アメリカが自分の心臓に他人の血液を輸血しているようでは世界を支配することは出来ない。
これから石油価格を160ドルに上げ、ガソリンスタンドのガソリン価格を1ガロン60ドルにすれば経済は再びリセッション。国民の恨みを誰かに誘導して(大統領暗殺?)アメリカは自らの宿命に一歩を踏み出そうとしている。
*基軸国家の特典(第三国が生み出すドル需要)で金を買い占め、原油を200ドルまで上げるべきとは私のシンクタンク(ワシントンD.C.)のアメリカへの常なるアドバイスであった。
所詮他国が被害者となる目先の暴落か、将来のゆるぎない世界支配(国益)か。
アメリカの選択が世界の経済と政治を破壊的に変える。


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