第659号(2011年6月24日号)

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アメリカのQE2(第二次金融緩和)後

4月中旬からNYダウ平均は下げ続け、12,000ドルを割ったが今週になって12,000ドルの大台を回復したものの、このまま上がる気配はなさそうである。
経済指標中、最も重要な鉱工業生産、消費、住宅の指標の悪化が続いているからである。
そこへギリシャを筆頭に南欧の財政悪化による国債返済不能問題が持ち上がり、中国経済の成長が鈍化してきたことも市場で悲観論の立場を強めている。
さらに6月末でQE2が終了するので最早市場に潤沢な資金は流れてこない。
米国債が発行限度を超えたのでオバマ政権としては緊縮財政と増税に頼らざるを得なくなってきた。アメリカの株価にとって四面楚歌である。
こうした現況下だから今週水曜日(米時間)バーナンキFRB(連邦準備理事会)議長の証言も経済回復は予想以上に遅れると述べている。
今日までの7週間中6週間NYダウが下げ続けたのも当然である。

私は日本の大震災(3月11日)以前、「米国経済は7月から本格的自律成長期に入り株価は上昇を続ける」と述べてきたが、急遽変更し、特に「ここ一番!」の読者の皆様には「ニッケイ1万円台は絶対に売り」とアドバイスを続けた。

バーナンキFRB議長の言う通り今世界に市場関係者全員の相場観は「弱気」だが私は少し違った見方をしている。
FRBがゼロ金利と金融緩和政策を採っている間の経済は、いわば人工相場であって本物ではない。QE2後、初めて「本物経済」になるのである。5月3日に付けたNYダウ平均11,613ドルが底なら、ここからの上げは「本物」と言っていいだろう。確かに米国経済は住宅価格が上がらなければ消費が伸びず、今後株価が低迷するものの、暴落はない。株価はただじりじりと底を下げて行くだけである。
それに比べて日本経済は震災需要で内需拡大が進み、先進国で唯一日本だけが高成長を余儀なくされている。
遠い先の2015年になるとアメリカのドルは国際信認を得られることなく基軸通貨の座を追われることになる。
その時、世界の通貨体制も株式市場も大変動を起こすが、一体私以外の誰がこの「歴史の終焉」で「ドルが世界で最も価値ある通貨に生まれ変わる」などと言うだろうか。
アメリカの「カラクリ」を知れば当たり前のことである。
またアメリカのカラクリの結果、「本年10月前半、円は市場最高値の60円台を付けるだろう」。
それを今から言っておく。


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