第686号(2011年11月17日号)

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ゲルマンのヨーロッパ無血統一

国家に責任を持つ国会議員の皆様も投資に励む方々も今回の本誌に注目していただきたい。


今、世界最大の問題が欧州財政危機であることは衆目の認めること。そこで先ずEU(ヨーロッパ連合)が生まれた背景を知っておく必要がある。
第一次大戦、第二次大戦を経験しヨーロッパ諸国は疲弊し、かつての世界の政治、経済への影響力が地に落ちた。戦後、世界を主導したのはアメリカであり世界市場はドルを基軸とした体制になった。ドルの支配力を全世界に徹底させるためアメリカは世界にグローバル化を推進しドルが国境を越えて世界の隅々まで浸透する戦略を採った。日本と同様国民の社会的精神と才能に恵まれたドイツは第一次大戦と第二次大戦でヨーロッパの統一を試みたが甚大な犠牲を被っただけで実現出来なかった。ドイツはヨーロッパ市場がアメリカのドルの支配下になり、さらにグローバル化の大波が押し寄せてくる中で危機感を募らせた。そこで「犠牲無きヨーロッパ統合」、ヨーロッパ連合(EU)の構想が生まれたのである。今日のEUはヨーロッパ統一というドイツの強いManifest Destiny(国家、民族の悲願)の意志が隠されていることを知らねばならない。
「統合=連盟=連合」と「統一」の違いは、連合・統合は加盟国の自由を尊重した「集まり」であり統一は加盟国に対して強制力を持った「帝国」である。
1999年EU発足に伴う2000年からのユーロ域内共通通貨でドイツ以外の諸国は通貨インフレとなり対ドイツ貿易赤字と対外債務が膨張した。
ヨーロッパの通貨インフレ・バブルは当然のこととして崩壊し今やドイツ以外の域内諸国は財政危機に瀕するに至った。
昨日(16日)EUは域内諸国の財政政策に強制力を持つことを決議し、何処の国もEUを頼るためには反対は出来なかった。EU連合のEU帝国化が始まってきた。正に「ドイツの欧州統一三度目の正直」である。
これでEUとは何かが理解できたと思う。


次に欧州財政危機とは何かの認識を持っていただきたい。
EU加盟27カ国の内17カ国が共通通貨であるユーロを自国通貨としている。
EU加盟のための経済条件が財政赤字のGDP比3%以下とされていたことはご存知の通り。ギリシャはもとよりかつてソ連の衛星国がこぞってEU加盟を希望し、オリンパスではないが「不実記載」までして帳簿上の赤字を減らし瞬く間に加盟国が増えた。域内の通貨の信用度が低い後進国や途上国に限り進んでユーロ採用を決めたのである。そしてその結果が今日の財政危機である。
このように欧州財政危機は構造問題であって金融問題ではない。
では何故ドイツは欧州財政危機を救うべく経済成長を目的とした構造改革を進めず、「戦後最大の危機」などと危機を煽るのであろうか。
ローマ帝国崩壊以来一度も、誰も統一出来なかったヨーロッパを統一するにはヨーロッパ諸国を否が応でもEU連合ではなくEU帝国に統合する必要があるからだ。
ドイツがEU統合に邪魔になる国を排除しながらどのようにヨーロッパを統一するか、書けば支障をきたすので「勉強会」でお話しします。


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