第690号(2011年12月06日号)

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歴史の転換を示唆する東日本大震災

津波は一瞬にして沿岸の町々と人々を奪い、原子力発電所を破壊した。
何百年間の長い歴史、伝統をはぐくみながら近代化されてきた社会が数時間で消えた。
コストが低く二酸化酸素排出量ゼロかつ大量供給が可能な原子力発電が成長を続ける世界の主要エネルギー源になったのは当然であった。
しかし福島第一原子力発電所の事故でドイツをはじめ原子力発電を断念する国が増え、日本も将来の主要電力源から原子力発電を外した。


津波と自然災害は古代から今日まで大都市所在地になっていた沿岸地域が危険地帯であることを曝け出した。
脱原発はエネルギーのコスト増大と同時に総供給量減少に繋がり経済規模の縮小を余儀なくする。


私が「歴史は終わった」と「小冊子」(前号)で述べた通り、新しい歴史とは今までの「成長」を目標とし、あらゆる問題を「成長」で解決してきた歴史の終焉を意味するのである。
新しい時代とは「非成長」かつ「量から質への転換」の時代である。
2011年3月11日の東日本大震災は文明の始まりから今日までの「都市」のあり方と規模的成長を否定したのである。
今後、世界に起きる自然災害は東日本大震災の結果を増幅させるだろう。
自然は我々に今日の人類社会が自然に不釣り合いになってきたことを警告している。我々は自然からの警告を知り新しい生き方を知らねばならない。
そのためには政治、経済上の価値観を180度変えなくてはならない。
政治におけるポピュラリズム(人気主義)と中間層衰退期における民主主義(多数決制)のあり方は再考されなくてはならない。またMoney talks(カネがモノを言う拝金主義)、ゼロサム原理(自分の儲けは他人の損)などの経済価値観は今や経済を自滅に追いやっている。
グローバル化で資本支配を達成したヨーロッパやアメリカは今やグローバル化が裏目になって財政危機に直面している。
日本のグローバル化率を見ると語学では主要59カ国中58位、人材採用では最下位で「人材鎖国」である。さらに日本の国債(負債)はほぼ100%日本で消化(保有)しているから「公債鎖国」である。しかし一方で日本は国連加盟国のほとんどの国に低金利で資金を貸付け供与している世界最大の対外債権国である。今世界で金融不安が起きる度にBuy Japan(日本買い)になるのは何故か。
日本は20年間も「日本の失われた20年」と言われながら優秀な日本人同士が協力し合って日夜高質な富の創造に努力し、他国から一切借金をせず、逆に貸付け供与している。
経済リスクが渦巻く世界の中で日本がSafety heaven (安全地帯)になるのは当然のことである。


「歴史が終わった」と述べてもよく納得できないのではと思い、1時間で誰でも「歴史の終わりと始まり」が分かるように「小冊子」(Vol.31)を発信することにしました。
20年と言わず、5年後に本誌が「新しい時代のガイドブック」であったことが証明されるだろう。


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