第694号(2011年12月26日号)

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民主主義のなれの果て

欧州債務危機の問題国、ギリシャ、イタリア、ポルトガル等の国債入札で札割れ(購入希望額が入札額に達しない)で利回りが危険水域の7%に接近したというニュースは耳にタコである。欧州債務危機の深刻さが市場の明暗となって現れ、近代史を主導したヨーロッパの「歴史の終わり」が刻々と迫っている。
ドイツの短期債(3カ月物)の利回りはマイナス0.06、米国の短期債(1カ月物)はマイナス0.01、日本の短期債(10年物)もほぼゼロ。
最近の日本国債の入札を見ると常に7、8倍の応札だから欧州問題国の札割れ状態と比べると雲泥の差である。新興国の国債の代表として中国債を見たいところだが国家管理なのでインド短期債(10年債)を見ると利回りは8%で欧州問題国以上に悪い。新興国は(前号で「新興国は先進国には絶対になれない」と述べた通り)GDP成長率は高くても国債の信用ではまだまだ債務危機下の欧州にも及ばないのである。世界の国債市場は完全に超危険国債と超安全国債に分かれた感がある。今や先進国社会も所得が増え続ける1%の富裕層と貧困に向かっている99%に分断されその差は日毎に拡大している。
これが総ての国民が主権者で自由を求め続ければみんな幸せになれると信望してきた民主主義のなれの果てである。

ユーロ共通通貨制度は経済制度ではない

本誌で何度も述べてきた通り共通でないヨーロッパの17カ国が共通の通貨を使えばどうなるかは初めから経済のABCが分かる人なら分かっていたこと。
ユーロ同盟はドイツを除く16カ国の主権剥奪による欧州帝国統一のための政治手段だったのである。先進国で成長が完全に止まり、国家と国民に主権と自由を保証してきた民主主義が機能しなくなった今、先進国は主権と自由を制限する権力国家に移行せざるを得なくなってきた。産業革命がヨーロッパで起こり、やがてアメリカに移ったように今ヨーロッパがアメリカに先駆けて帝国化しようとしている。

「時価会計」は諸悪の根源!

今日国家も企業も「時価会計」である。
これを勧めたのは1970年以来バブル経済を推進してきたアメリカである。
「時価」とは現在の株式や土地等の市場価格である。市場が決めた株価は「本当の株価」ではない。額面50円の株の年配当が10%で公定歩合0%なら55円が本当の株価である。「期待価格」(バブル価格)をベースにした経済価値を採用することは1999年のユーロ共通通貨制度と同じく経済制度ではなく「米ドル支配」(バブル通貨支配)を目的とした「政治制度」なのである。ユーロ圏のバブル崩壊は「欧州ミニ・バブル崩壊」であり、時代を変える「超大バブル崩壊」の兆しである。額面が50円で年配当が年10%、株価が1,000円の株が55円になる超大バブル崩壊の日は米ドルが国際通貨の座を追い出される時である。
終戦(1945年8月15日)から1971年8月15日のニクソン・ショック(ドルと金の交換制廃止)以前、アメリカは金の保有量以上にドルを発行出来なかったが以後アメリカはドル乱発を続けているからやがてドルの信認は崩れる。
日本もアメリカに乗せられて「時価」という将来の子孫の資産を食いつぶし、挙句の果て対GDP比200%を超える借金まで子孫に負わせようとしている。
「目覚めよ、ニッポン!」と叫びたいところである。
詳しくは今ご案内中のCD/テープをご参考ください。


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