本誌の読者は「過去、現在、未来を間違えない」!
ギリシャ国債危機の内情
1月27日のダボス会議(スイス)でEU(欧州連合)の首脳たちはギリシャの国債問題は間もなく民間債権者間との合意が成立し第二次ギリシャ支援の枠組みが決まると述べている。民間債権者は昨年10月ギリシャ債券元本を50%削減することを合意している。ここへきて手持ち債券と新債券と交換するにあたって現在の市場での利回りが7%前後なのにギリシャや欧州債務相会合の要請で仮に新発債の表面金利を3%にすると民間債権者は約75%の損失を被る。明日パリで私と会うことになっている同債権者中のヘッジファンド会社の一人は「絶対に合意に参加しない」と断言しているから民間債権者からの脱落者が出るのは確実である。(私の友人はギリシャを強制的債務削減に追い込もうとしている)
ギリシャが3%を主張するのは民間債権者が合意している4%ではEUが課している支援条件、現在の債務のGDP比160%を120%に下げることが出来ないからである。民間債権者と合意が出来ないか、または脱落者が多く出る場合ギリシャは3%による新旧債券交換を強制することになる。そうなるとギリシャ債を超低価格で拾ってきたヘッジファンドと昨年ドイツの忠告で50%削減合意に参加しなかったECB(欧州中央銀行)だけが大儲けとなり民間銀行のいくつかは破綻に追い込まれるだろう。
大事なこと
先週金曜日までは欧州債務問題が「ソフトランディング」するという認識で世界的に株価が上昇した。過去、現在、未来の認識のある読者、特に「ここ一番!」の読者は先週中に持株は売ったはずである。
私の読者は世界の全投資家の数に比べたらゼロ同然。読者以外の世界の投資家は欧州債務問題解決に「希望」をもって成り行きを見守ってきたから株は上がり、対円でユーロも上がったのである。ギリシャ国債問題や欧州債務問題の解決に楽観的であると言うことは、欧州債務問題は「終わっていない」ことを意味する。つまり欧州問題は「現在」と「未来」(これからの)問題ということである。実は私とアメリカ(関係するシンクタンク)にとっては「欧州債務問題は過去の問題」である。「ギリシャ国債デフォルトはすでに2009年5月に起こった」し、「イタリアとスペインの国債は2011年7月にデフォルトに陥っている」。
今EUがEFSF(欧州金融安定ファシリティ)らESM(欧州安定化メカニズム)などに公的資金を集めて欧州金融安全網の構築を行いながら欧州経済統合へ向かっているのは、過去、現在、未来の認識の無い99.999%の世界の人々に「過去の日記を未来の予定表に見せようと努力していること」に他ならない。
アメリカの指導者は過去、現在、未来の認識があるからオバマ政権を「事実に基づいて」指導している。くどいようだが「アメリカの公的資金の金(ゴールド)買いは、過去、現在、未来の認識のある私とワシントンDCのシンクタンクがアドバイスしたものであった。では何故今ヘッジファンドの資金が世界を引き揚げアメリカに流れているのだろうか。それはとりも直さず鋭い「アメリカの野望」に乗るためである。
私の「時事直言」の運営を支えて下さる皆様に、いよいよ数日中に感謝を込めて「アメリカの野望」(単行本調)をお送りすることになりました。
今パリですが、2月上旬まではヨーロッパから目が離せません。
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