第704号(2012年02月06日号)

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「超したたか」なアメリカの戦略!

先週金曜(2月3日)のNY市場:NYダウ平均は156.82ドル上げて2008年5月以来の最高値12,862.23ドルとなった。ナスダックも45.98ドル上げて2000年12月のドットコム株バブル以来の高値2,905.66ドルをマークした。
同日労働省が予想(15.5万人)を大きく上回る雇用増(24.3万人)で失業率が8.5%から8.3%に下がったと発表したのが理由であると多くのアナリスト、市場関係者が述べている。雇用について重要なのは月間増加数ではなく中長期の「傾向」である。今までの雇用の傾向を見ると、ここのところ7か月連続で月間10万人以上増加しており、昨年後半からは月20万人を超える月が増えている。
この傾向がこのまま11月(大統領選)まで続けばアメリカの失業率は8%を割ることになり、オバマ大統領は失業率が8%以上の大統領は再選されないというジンクスをクリアし大統領再選の可能性が高くなる。いずれにしても2011年中約200万人(182万人)の雇用が創出された事実はオバマ大統領の再選に有利であることは間違いない。共和党は長期にわたって就職が決まらず就職戦線から脱落した数字が失業者数を減らしているに過ぎないなどとオバマ大統領のお手柄にしたくないようだが、やがて大恥をかくことになるだろう。労働省が発表する雇用数は大企業と公務員が調査対象だが、私に近い民主党のシンクタンクは労働市場からの脱落者を含めた総世帯を対象に調査した結果を握っている。本年1月だけでなんと63.1万人の雇用増を確認しているのである。アメリカの雇用は急速に改善されていることは間違いない事実なのである。
オバマ大統領はタイミングを見て共和党候補を国民の笑い物にする予定である。


一昨年来の欧州債務危機にもかかわらずアメリカの株式市場は活性化し株価が高値を更新している(失業率以外の)「本当の理由」は、本誌運営にご協力くださった読者全員に贈呈している「感謝!増田俊男の特別レポート」に詳しく説明している。株価を上げて景況感を良くするための金融戦略は二つしかない。第一はFRB(連邦準備理事会)等中央銀行がQE1(第一次量的金融緩和)やQE2などによる国内における過剰流動性とレパトリ(Repatriation)と呼ばれる海外進出企業の資金引き揚げや海外金融資産の売却(ドル買い)による海外からの資金還流で国内流動性を高めることである。2011年6月30日FRBのQE2が終わってから、欧州債務危機の深まりでドル需要が高まったところで主要6カ国が協調してドル交換スワップ金利を0.5%下げた為アメリカ国外でドル放出が促進され、その結果大量のドルがアメリカ国内に還流された。雇用の連続増とNYダウやナスダックの連続上昇の本当の理由はアメリカの上記二つの国内過剰流動性である。アメリカの過剰流動性というマネーバブルの崩壊は目前。
アメリカは流動性バブル崩壊による暴落を吹き飛ばす戦略を用意している。
それは言うまでもなく「引いても(資金還流)駄目なら、押してみよ」である。「押す」とは政治圧力のことである。先の「小冊子」でイスラエルは「アメリカは知らなかったこと」にして行うイラン攻撃作戦をアメリカと相談していると述べた。毎年1月末から2月初旬にかけてイスラエルで開かれるある平和会合(私は招待されていたが今年は欧州が忙しく参加出来なかった)でイスラエルのバラク国防大臣が”,,later is too late”(明日では遅過ぎる)と言って、「イスラエルは何時でもイランの核施設を空爆する用意がある。アメリカに事前通告するとは限らない」(2月2日)と爆弾宣言をした。翌2月3日パネッタ米国防長官はNATO(北大西洋条約機構)の会議で「イスラエルがアメリカに通告なしでイランを攻撃する恐れがある」と発表した。昔の日記をまことしやかに「驚きのニュース」とするのはそれなりに必要があってのこと。2‐3カ月前の私の日記(「本誌」や「ここ一番!」、「小冊子」)の読者には「いまさら何を」である。
イスラエルのイラン攻撃のX デーはアメリカの強い要望でヨーロッパをはじめ日本の対イラン経済制裁が何時から実効になるかがヒントである。
イスラエルがイランの核施設を空爆すれば経済制裁してもしなくてもイランから石油は来ない。アメリカの次なるステップは過剰流動性バブルを崩壊させながらイスラエルの「仕掛け」に歩調を合わすことである。アメリカ経済のバブルとバブル崩壊は海外資産の合法的略奪であることを知らねばならない。(アメリカに誘導された海外資産がバブル崩壊で劣化した分はアメリカの儲け)
以上のようにアメリカの細工は流々だが、次なる隠されたアメリカの「手」(陰謀)についての詳細は近く開く「実践経済セミナー」で直接お話しする予定。(あまり大きな声で言えることではないから)
*私はまだドタバタのEU圏に密着しています。


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