「NYダウ1万5000ドル!」、
「ニッケイ1万500円!」
アメリカでは住宅価格が下げ続け、2012年中に日本で言う信用金庫が60行以上破綻し、欧州では働き盛りの青年(25歳まで)の失業率が22%でIMF(国際通貨基金)の予想通り不況突入寸前、先進国が頼っている新興国代表の中国経済は世界銀行(ゼーリック総裁)と中国政府系シンクタンク(中国国務院発展研究センター)が発表(2月28日)したように「これからは現在の成長モデルは不可能」で、今後経済成長率は2020年に向かって7‐6‐5%と低下が続く。
現在の「国進民退」(国有企業有利、民間企業不利)のままで自由化改革が進まなければ経済成長は一気に急落する可能性がある。
中国は欧米経済の停滞による輸出減退で雑貨、アパレル等主力メーカーの倒産が相次いでいる。日本を除く先進国と後進国の成長は下降線で好況どころか不況に向かっているのが現実である。実体経済から聞こえるのは「ため息」と「怒り」だけで、冒頭の景気の良い掛け声は経済の現実とは100%マッチしていない。
株価や商品価格を押し上げているのは、前代未聞の超金融緩和による超カネ余りとアメリカにおける悪材料無視とねつ造された好材料だけをはやすために改善された消費者マインドのためである。
バブルは必ず崩壊するといことになっているし、過去がそれを証明していることに変わりはないが、私は今までのようにバブルを「仮需要」として捉えない。
つまり底上げされた仮の価値が現実に戻ることをバブル崩壊とする考えは採らないということである。今までの小冊子で解説した通り、経済低成長又は非成長時代では希望的成長予測はあり得ない。従って金融資産の膨張(バブル)の理由は全く異なる。
ECB(欧州中央銀行)は欧州民間銀行に昨年末約50兆円、本年2月29日約57兆円を欧州債務危機に対応することを理由に放出した。
ギリシャや他の南欧諸国の債務危機の原因は経済力が全く異なる17カ国が共通通貨(ユーロ)を使うことだから、債務危機を回避するため2カ月間で100兆円以上の融資は原因には関わりない目先のデフォルト(債務不履行)の先延ばしに過ぎない。
日銀の白川総裁がECBの超金融緩和に同調しながらも、「時間を買ったに過ぎない」と言った通りである。
アメリカはもとより、世界の先進国はすべて債務危機(債務のGDP比100%以上又は100%に接近)に陥っていて財政の改善の見込みはない。
見込みがないのは民主主義の為で、政権維持の為には主権者国民が要求する福祉予算の拡大を続けなくてはならないからである。
今後アメリカをはじめ経常赤字国で債務超過に陥っている国の通貨は(今は金融資産価値を膨張させることで破綻を先送りしているが)やがて破綻するのは確実だから、市場の80%をコントロールしている余剰資金を持つ金融機関も大手ファンドも破綻に向かって日々目減りする現金(国債を含む)を急いで「モノ」に代えようとするのは当然である。だからモノを作る企業(上場会社)が代表として買われ連日株価が上昇しているのである。今の株高は経済の成長期待で上げているのではなく「通貨破綻予測型株式バブル」なのである。
だからこれから株価は金や商品価格と同様に上がり続けることになる。
では私は何故3‐4月の株価急落を予測したのだろうか。
それは市場参加者はまだ「株価バブル=仮需要」の方程式が頭から消えていないことと、先送りしたはずの欧州債務危機がやがて再燃するため一時的信用収縮を起こすからである。
もう一度私の「小冊子」を読むと「従来のバブルとこれからのバブル」について数字とグラフで解説してある。
あたらしい時代の新しい原則を1日も早く頭に入れる必要がある。
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