中暴落は続く!
先週NYダウ平均が274.88ドル下げ年初来の最安値になったことから今後の相場について心配する投資家が増えている。「ここ一番!」や「小冊子」の購読者からの質問への回答で忙しい毎日である。
今後は株価も商品価格も7月から急騰し、アメリカの大統領選(11月)後は下げに転じ、2013年からは今までの「過剰金融緩和バブル崩壊による暴落」と過去の経済成長時代が終焉し、低成長、マイナス成長時代に転換する「歴史転換による超大暴落」の「複合暴落」が起きると今発送中の「小冊子」(Vol36.)で詳しく解説した。本誌でも一貫して述べてきたように6月いっぱいは中暴落状態が続くだろう。
2013年は「複合暴落」の年
世界経済を見る時は「目先」と「歴史の潮流」をしっかり把握することが肝要。
目先のためには世界の資金が集中しているNY市場に最も大きな影響を与えるFRB(連邦準備理事会)と主な先進国中央銀行の動向、さらに世界の成長部門の中国等振興国の実体経済を見る必要がある。目先の世界経済は欧州債務問題による欧州経済の不安定化とリセッション(不況)入り、アメリカ経済の成長鈍化、中国経済の成長低下とモノ造り中国の鉱工業生産の落ち込み等々で先行きは暗い。
過去3年間、株価が上がって景況感が向上したのは金融緩和をした時だけで、緩和をたとえ短期間でも中止すると直ぐに株価は下がり不況感が台頭する。
金融緩和による実体経済の成長は金融緩和に費やされた資金量にはるかに及ばないばかりか、金融緩和を続ければ続けるほど成長率は鈍化し、所得格差が拡大している。今アメリカや欧州は1990年代の日本のバブル崩壊時と同じ状態に陥っている。当時日銀は史上初めてゼロ金利政策を採り、政府はいわゆる「無駄な公共投資」を繰り返したが20年有余の間デフレから脱出出来なかったことから「日本の失われた20年」として「よくないモデル」として知られてきた。
今アメリカ主導で世界の先進国は超低金利、金融緩和を繰り返してきたが、欧州はマイナス成長、アメリカは超低成長から脱出出来ない。
日本が例外的に高成長で経済ファンダメンタルズも良好なのは、昨年3月の大震災復興の為国家の借金がGDP(国内総生産)比200%とういう歴史上最高であるにもかかわらず、今や無駄ではない公共投資を続けているからである。
先進国が正に「無効」で「問題の先送り」でしかない金融緩和から「日本の失われなかった20年」のジャパン・モデルに切り替えて無駄な公共投資を繰り返すなら間違いなくこのまま不況に落ち込むことは無い。
しかしFRBも他の先進国も米大統領選までは無駄な金融緩和を続けるので7月から11月までは極短期のバブル相場になるだろう。
来年の事を言うと鬼が笑うので今から言っても仕方がないが、「複合暴落」という市場が今まで経験したことのない「大混乱」が起きるだろう。
それにしても欧米ばかりか新興国の代表中国まで景気が落ち込み世界経済が不況に怯えている時を選んで増税に政治生命を掛けるリーダーを持つ国があるとは世界の驚きである。小沢氏は「増税の前にやるべき事があるのではないか」と言うが、やるべき事があろうとなかろうと世界経済の不況回復時や不況再突入時に増税してはならない。「やっと退院した者や、入院しようとしている者の足を引っ張ってはならないのである。」
今の時点での日本の増税はアメリカにとっては大歓迎、日本にとっては悲劇。
もっとも日本の財務省はアメリカの財務局第四課だから仕方がないのかも知れない。
|