消費税増税は邪道か?!
本年5月22日、財務省は「対外貸借報告書」を発表しました。
日本の経済主体(政府、金融機関、企業、家計NPO等)が海外に持つ総金融資産は前年より3.3%増の582兆480億円でした。また同債務は5.5%増の329兆380億円。債務の増加率が増えたのは欧州信用不安の為償還1年未満の日本の国債が安全通貨として買われた為で、やがて欧州信用不安が解消されれば元に戻る一時的現象で純粋の意味で日本の負債ではありません。
いずれにしても対外債権から債務を差し引いた対外純資産は253兆100億円になります。
また財務省発表の2011年末現在の日本の主な経済主体の総金融資産は約5,700兆円(前記対外資産を含む)で政府は約480兆円(約100兆円の外貨準備を含む)を持っています。
海外総資産は毎年増加し、海外からの所得収支も急増の一途ですから対外純債権を含め政府の金融資産は増え続けるのは明らかです。
日本政府は恒常的財政赤字、恒常的経常赤字、世界最大の対外債務国アメリカの経済破綻を救済するため中国と共にアメリカの総負債約410兆円の44%に当たる米国債を保有しています(中国:93兆円、日本:83兆円)。
日本政府は約500兆円の金融資産の余裕を持ち、何にでも使える100兆円の外貨準備金を持ち、日本の為なら何時でも売ることが出来る米国債権を83兆円を持っています。こんな裕福で余裕のある政府は世界中どこにもありません。
小沢氏は「消費税の前に何かやることがあるのではないか」と言いますが、何からやっていいのか困るほど現金があり過ぎているのが「本当の日本」です!
アメリカ追従と言う「事なかれ主義」!
日本政府が財政・金融政策の指針にしているのは1993年宮沢首相・クリントン米大統領間で決め、以来アメリカが日本に対して要望(命令)する「年次改革要望書」(通称)であります。小泉内閣の時は「郵政民営化」(国民が国に預けていた貯金箱を外資の手の届くところへ移動すること)が要望されました。
民主党政権になる前の自民党政権時代から同要望書は強く消費税を要望しています。アメリカの為に日本経済にブレーキを掛ける必要があるからです。今でも自民党が消費税に賛成なのは当然のことです。民主党のマニフェストに消費税が無いのに今になって消費税を主張する理由は、政権を取ってからアメリカの「年次改革要望書」に従うことになったからに過ぎません。アメリカは昨年もそうでしたが、今も来年の更なる借金準備の為約1,300兆円の国債発行上限の議会承認を求めようとしており、資金確保の主なターゲットは昨年同様日本です。日本の国債は世界一信用があり、日本経済は大震災復興公共投資と金融緩和で先進国唯一の高成長の最中にあります。現在のアメリカにしてみると、かつての橋本内閣時のように経済成長に向かう日本経済を消費税で出鼻をくじいて成長にストップを掛け、日本の金融機関、企業、個人の余剰資金をアメリカに吸収する必要があるのです。
2013年のことですからアメリカにしてみれば日本の消費税は正に「待ったなし」なのです。昨年8月に経験したようにアメリカの国債デフォルト危機は日本経済にとって由々しき問題なので、アメリカ追従の大蔵省(今財務省)主導国家日本としてもアメリカ同様消費税は「待ったなし」の問題なのです。
「こんなに余裕資金があるのに何故消費税が必要なのだ」という問題ではないのです。毎年アメリカから突き付けられている「年次改革要望書」に対して逆にアメリカに対して「日本の要望書」を突き付けられないのが問題なのです。
国益意識なし、グローバル・センスなし、さらには日本のIDなし、叩かれる前に叩く防衛意識なし、、、。
「アメリカが駄目になったら、、」という言い訳で「アメリカの言いなり」を最優先にしている「事なかれ主義」。
消費税とはこうした問題を物語っているのです。
*明日(8日)は新防衛大臣に就任された森本 敏氏の特集です。
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