第759号(2012年09月12日号)

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セプテンバー・イレブン(9/11)から11年目のアメリカの選択
ブッシュ政権

ブッシュ政権時の2001年9月11日、ニューヨークのWTC(世界貿易センター)の二棟の高層ビルにアメリカン・エアラインとユナイテッド・エアライン機が激突して2時間後に両棟とも崩壊した。さらに別のアメリカン・エアラインはペンタゴン(米国防総省)の壁を破って炎上した。しかしUS Capitol Building(政治機構の中心)を狙ったユナイテッド・エアラインは乗客とテロリストが機内で争いを起こした為ペンシルベニア州に墜落した。首謀者はアルカイダの指導者ビン・ラーディンと断定されブッシュ大統領は「テロとの戦争」を宣言した。
同年10月アフガニスタンのイスラム国家タリバンをビン・ラーディンを保護しているという理由で軍事攻略後選挙を施行してカルザイ内閣を樹立。
2003年3月サダム・フセイン大統領のイラクをテロ国家に指定、後に捏造が発覚したが、イラクの対米テロ活動の証拠を並べ、また実際には存在していなかった大量破壊兵器を隠ぺいしている等としてアメリカ単独でイラク攻撃、バクダットを火の海にした。後にアメリカ主導で憲法制定、民主政権が樹立されている。アルカイダが発表した9/11犯行動機は、アメリカの対イスラエル安全保障とサウジ・アラビア等アメリカの同盟国の米軍基地化であり、アラブからイスラエルとアメリカの軍事覇権を排除することであった。当時サダム・フセイン大統領はフランス、ロシア、中国に膨大な油田埋蔵地区の発掘利権を与えており、イラクの原油取引通貨はユーロに決めていたので、アメリカはドル防衛とイラク原油利権をフランス、ロシア、中国から奪還する為、テロとの戦争に乗じてイラク攻撃をする必要があった。
オバマ大統領はアフガンとイラクから米軍を2014年までに撤退することを決めて実行している。2011年5月1日に米海兵隊特殊部隊がパキスタンでビン・ラーディンを殺害した時点でアメリカのテロとの戦争は終わったとされる。
政治的に見ればブッシュ政権は戦争政権であり、経済的にはScrap and Build の資本主義経済の原則のScrap(破壊)の政権であり、文化的には愛国心や宗教心を高揚させアメリカの誇りを取り戻した政権であった。

オバマ政権

2009年1月から執務を始めたオバマ大統領は同年7月ロシアのメドベージェフ大統領を訪問、START 1(第一次核兵器削減条約)に代わる新STARTの枠組みに合意した結果アメリカの核技術がロシアに開示されることになり、ロシアから中国に渡ることになった。
中国は中南米に積極的な軍事援助を含む資源外交を展開し、中南米の鉱物資源独占を図っているがオバマ政権は放置しているため中南米におけるアメリカの軍事覇権力は崩壊の危機に瀕している。イスラエルの安全にとって致命的脅威であるイランの核開発阻止のためのイスラエルの対イラン核施設空爆にオバマ政権は反対し、実際にはほとんど効果のない経済制裁に固執している。イスラエルが要求するRed Line(攻撃の条件)の設定についてイスラエルのネタニヤフ首相がオバマ大統領に会談を申し込んだがオバマ大統領が門前払いをしたのを見ても分かる通り、オバマ政権は従来のアメリカとイスラエルの強い絆を拒否する。オバマ政権が2014年までにアフガンから米軍を完全撤退させると言うことはブッシュ政権のアフガン攻略の目標を無視することである。ブッシュ大統領のアフガン攻略の目的は1971年のソ連(ロシア)のアフガン侵略の目的と全く同じである。1970年代ソ連は当時支配下にあったカスピ海周辺諸国の原油を太平洋まで運ぶ為パキスタンのカラチ港までのパイプラインをアフガニスタンに敷設する必要があった。これをビン・ラーディンと手を組んで阻止したのがアメリカであった。1991年のソ連崩壊後カスピ海周辺諸国はソ連から独立、親米政権が多くなったので、アメリカはカスピ海周辺の原油をカラチまで送るパイプラインの為アフガン支配が急務だったのある。
アメリカはかねてから現在アフガンの大統領になっているカルザイ氏を使ってアフガンのタリバン政権にパイプライン敷設の交渉をしていたがタリバン側の要求が大き過ぎて交渉は頓挫していた。だから9/11はアメリカにとってアフガン支配の絶好のチャンスだったのである。アメリカが多大な人命と軍事資金をカスピ海周辺の原油をアフガンのパイプラインでコントロールする目的でつぎ込んだのに、オバマ大統領はあっさり捨て去ろうとしている。
2007年にブッシュ大統領はロシアの軍事覇権を未然に防ぐためチェコとポーランドにアメリカのミサイル防衛システム(MD)を設置する合意を取り付けたがオバマ大統領は廃止してしまい、ロシアに対欧州軍事覇権のフリーハンドを与えた。オバマ大統領は9月4日から始まった民主党大会でKeynote Speechにテキサスの若干37歳のサン・アントニオ市長Julian Castro氏を選んだ。
氏が政治家を志したのは実母Maria del Rosarioの影響であり、市長室には母親の写真が飾られている。母Mariaは過激な人権活動家で、有名なアラモの砦の戦いはアメリカの陰謀であり、後にメキシコ軍を敗退した米騎兵隊の将軍たちは英雄等ではなく酔っ払いや詐欺師で総て掠奪集団だったなどとニューヨーク・マガジンなどで述べている。Castro市長を最重要スピーカーに選ぶようなオバマ政権下では愛国心も宗教心もアメリカの誇りもない。
ブッシュ前大統領は「オバマはアルカイダの亡霊だ」とまで言っている。
オバマ大統領は「アメリカの有権者は二人の候補者と二つの政党から選ぶのではなく世代の選択が迫られているのだ」言っている。

私の見解

オバマ大統領の言う「世代の選択」にはご本人の知らない意味があると思う。
私は世界経済の成長が止まり、「下山の哲学」の時代になったと述べる。
又停滞気味の経済を成長させるには「破壊」しかないとも言っている。
当然のことだが成長が止ったら築いた資産を破壊し復興需要を期待する以外に成長のチャンスはない。戦争という破壊(Scrap)は、今日のように民意が強く反映される政治では、いくら経済が必要としているからと言ってもやたらに出来るものではない。しかし今の停滞する世界経済を活性化するにはScrapしかないのは確かである。だから自然災害を受けた日本は別だが、資産の破壊が今世界に求められているのである。そこで、オバマ政権は「アメリカをScrapの方向に誘導してきた」とは考えられないだろうか。ここまで仮想敵国中国にやられ放題で、同盟国イスラエルの危機を放置、実体経済無視のマネーインフレに傾倒、挙句の果ては白人軽蔑!アメリカ人がここまで自国の大統領に追い込まれたら、次には何を選択すればいいのか自明ではないのか。これからアメリカ人は今の政治・経済を破壊し、愛国心、宗教心と誇りを取り戻す「次の世代」と言う名の「強いアメリカ」を選ぶのではないか。オバマ大統領本人は分かっていないだろうが、オバマ大統領は「来るべき時代」の「捨石」だったのである。
ならばアメリカの有権者は「捨石」を選ばず、愛国心や宗教心を高揚し、かつ強いアメリカという「来るべき世代」を選択しなくてはならないだろう。


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