第762号(2012年09月18日号)

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増田俊男の緊急報告
尖閣諸島問題

竹島や尖閣諸島問題が何故起きたかは、8月2日発信した私の「小冊子」(Vol.38)第12章、30−31ページを読むと理解出来るはずである。アメリカが2005年北朝鮮の核兵器保有を認め、以後北朝鮮に対して軍事行動を執らないと宣言したため日本はアメリカの核の傘から追い出された。
北朝鮮は2006年から数回にわたって日本に向けてミサイル発射を行い、2007年には核実験を行った。さらに2012年、「沖縄」をターゲットにミサイル発射を行ったが、こうした北朝鮮の一連の対日脅威に対して日本は無反応であった。そこで「アメリカは日本に安全意識を高めるための最後の手段を考え始めた」と述べている。
ここへきて急に対中、対韓領土問題が起きた背景にはアメリカの対中、対韓の世論操作があると言うのが私の観測である。
2007年6月、アメリカとイスラエル主催の世界民主化運動の国際会議でアメリカのハード(軍事力)を背景にした世界民主化戦略には安倍内閣(麻生外務大臣、谷内外務次官)の「自由と繁栄の弧」という経済・文化をベースにしたソフトの戦略が必要であると中国、韓国、ロシアは勿論世界各地から集まった民主活動の戦士達が一堂に会した会場で述べたことについて本誌で述べたことがある。
私はその後の同会合に何度も出席しながらアメリカの世界民主化運動の戦略を目の当たりに見てきた。「アラブの春」(アラブの民主化運動)を報じるCNNで、会合で度々会ったことのある民主活動家の映像を見たことも本誌で述べた。中国や韓国の世論や民主運動が直接、間接巧みにアメリカにコントロールされている事実を私は知っている。韓国大統領の竹島上陸、香港アクティベストの尖閣島上陸は共に偶然や突然ではなくアメリカの対中、韓世論操作の結果であることは言うまでもない。日本の世論を憲法第9条改正して自衛隊を軍隊にして日本を名実ともに独立国家に誘導する為のアメリカの対日戦略の一環と解すべきである。
尖閣諸島、竹島、北方領土等の領土問題は、日本対相手国間では絶対に解決出来ない。日本と中国、韓国との領土等の政治問題は、もし日本に憲法第9条が無く、自衛隊が軍隊で、戦力を国家の意志(国会決議または総理大臣の命令)で行使出来、しかも日本軍の軍事力が中国人民解放軍よりも韓国軍よりも優れていて、かつ中国に対しては日本の核兵器の方が優れているなら、日本の主張通りに二国間で解決出来る。現行の専守防衛の憲法第9条下で日本の主張通り領土問題を解決するには世界最大の軍事力を持つ日本の同盟国であるアメリカを日本対中国、韓国の国際問題に巻き込まなくては不可能。しかしアメリカは中国とは戦略的パートナーであり、韓国は日本同様同盟国だから「高みの見物」しか出来ない立場。
9月11日野田首相は尖閣諸島の国有化を宣言した事から中国から漁船団が大挙尖閣島に押し寄せてくるようだが、場合によっては海上保安庁の巡視船だけでは抗しきれず海上自衛隊出動もあり得るだろう。
来日したパネッタ米国防長官が日本の領海侵犯には日米安保の適用もあり得ると述べたことは重要である。日中間の軍事緊張が高まり、不測の事態になればアメリカが介入することになり、意外に早期に問題解決になる可能性がある。もし中国との領土問題を早急に解決したいなら、むしろ不測の事態を避けない方がいいのではないか。米第七艦隊が尖閣諸島に向かえば中国軍は尻尾を巻いて退散。アメリカが日中両国問題を仕切ることになる。

反米暴動

野田首相が尖閣諸島の国有化を発表した同じ9月11日リビアの米大使館が組織的武装勢力により爆破されシェルター(特殊避難場所)に居た米国大使が殺害された。これはアメリカにとって第二のセプテンバー・イレブン(9/11)であり、1998年8月のケニアとタンザニアの米国大使館同時爆破事件に匹敵する高度な「仕事」である。
ブッシュ大統領が前述の米大使館爆破とセプテンバー・イレブン(9/11)の犯人を、アメリカ、イスラエル、アルカイダの利益の為、アルカイダであると断定したことは事実に反するが政治的には正しい判断であった。当然今回の9/11もリビア政府は事実に反し犯人はアルカイダと断定するだろう。(リビアがパキスタンに見習って真実を今後の対米要求に使うのは当然のこと)2001年の同時多発テロ以降アメリカはアフガニスタンの原油パイプライン(カスピ海周辺国の原油を太平洋のパキスタン領カラチまで運ぶ)の敷設権とイラクの原油利権をフランス、ロシア、中国から奪って独占したように、アメリカは今後米大使館爆破犯人追及と米大使館の安全確保を理由にリビアに米海兵隊を駐屯させ、イラク同様アメリカ主導でリビアの民主化を進めながらアメリカの傀儡政権を作り、リビアの原油利権をフランスから奪うことになる。
何時の時代のセプテンバー・イレブンも、その後起きるのは「戦争」であり、その結果アメリカが得るものは「原油利権」である。

ロムニー大統領候補の失脚

イスラエルの軍部の一部からイラン空爆のレッドライン(攻撃が許される一線)を決める為オバマ・ネタニヤフ会談を要求したが拒否されたとの報道があり、またロイター通信もホワイトハウス筋の情報として、オバマ大統領の時間の都合でイスラエル首相との会談を断ったと伝えられていた。ロムニー米大統領候補が選んだライアン副大統領候補は、まるで鬼の首を取ったようにオバマ大統領は同盟国イスラエルと中東の安全を軽視していると厳しく非難攻撃をした。ところが9月11日、イスラエルの軍部は、ネタニヤフ首相はオバマ大統領に会談の要請をしたことはなかったこと、またオバマ政権は歴代の米政権で最もイスラエルの国益の為に尽くしてくれたと正式発表、同時にホワイトハウスのピーター報道官もイスラエルからの首脳会談の要請は無かったと発表した。9月11日を期してイスラエルは従来のオバマ政権に対する失望と焦燥感を捨て去り、ロムニー支持からオバマ支持に鞍替えした。ライアン副大統領候補の思慮を欠いた数々の発言からイスラエルはロムニー候補の当選は無理と判断し、オバマ大統領が首脳会談の要求を拒否したという不確実情報を流し、ライアン候補の無責任で軽はずみな発言を誘発しておいて、9月11日にロムニー候補の息の根を止めたわけである。今後ユダヤ系の資金が断たれるロムニー候補は絶望である。ロムニー候補を斬る決断をしたところで、ユダヤ系有志が制作したイスラム予言者ムハンマドを侮辱したビデオをアラビア語に吹き換え、イスラム世界の礼拝時9月14日前にイスラム世界に流し反米運動を煽った。さらに9月11日にはリビアの米大使館を、アルカイダを犯人に仕立て爆破し、反米運動を「アラブの春」が進行中のアラブ諸国から他のイスラム諸国に拡大することに成功した。ロムニー政権下で中東戦争(レバノンのヒズボラ壊滅、シリア軍事侵攻、イラン空爆)を行う予定を諦め、記念すべき9月11日、米リビア大使館爆破でオバマ大統領を中東戦争に巻き込んだのであった。追い込まれたオバマ大統領はリビア大使の葬儀を盛り上げるなどで国民の愛国心を高め、中東戦争の準備に向かわざるを得なくなったのである。9月11日の決断とは正に「アラブの春」の「アラブの冬」への転換であると同時に、嫌がるアメリカをイスラエル主導の中東戦争に巻き込む戦略であった。日本はアメリカを動かすイスラエルの政治戦略を見習ったらどうか。もし自衛隊が中国戦艦を撃沈すれば歴史の針(時計)を早めることが出来るのだが、、。


*本日の「ここ一番!」で「QE3後の市場の宿命」について詳しく解説しています。


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