第817(2013年4月1日号)

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「円の独歩高」と「円の独歩安」の意味

2008年のリーマン・ショック以来アメリカのFRB(連邦準備理事会)主導で日銀を含む世界の中央銀行は一斉に量的金融緩和に走り、言わば先進国間の通貨安競争が始まった。
ところが先進国通貨が下がる中一人円だけが上昇、「円の独歩高」が昨年11月14日の野田前首相が衆院解散宣言をするまで続いた。
円の独歩高の理由は、日銀が「日銀券ルール」(通貨流通量以上に国債を買わない)に従った緩和でネットでの緩和になっていなかったため。
つまり先進国で日本だけ量的金融緩和を行っていなかったからである。
日銀が事実上の金融緩和を行わなかったのはFRBの指示に従ったからだと言う情報があるが、アメリカが日本に緩和を要請しなかったことは事実である。
アメリカは「輸出倍増計画」を打ち出していたから円の独歩高が大歓迎であったことは言うまでもなく、その分だけ日本の輸出企業は苦しんだ。
安倍内閣発足と同時に実質的金融緩和を打ち出したがバーナンキFRB議長は3月末の議会証言で(暗に円の独歩安を意識して)反対どころか、「複数国が金融緩和を行えばお互いの利益になる」などと述べ、暗に日銀の通貨安競争への参入、すなわち「円の独歩安」を支持した。
では「円の独歩安を何故FRBは支持するのだろうか」?
FRBは現在の緩和策を続行中だが、実は「出口」を模索している。
今後、緩和を縮小すると株価が下がり、金利が高騰する恐れがあるので、日本の円と金利を下げ、米国債の金利が上昇気味になったら日米金利差を埋める作用が働き日本の緩和資金が米国債を買うことになるからアメリカの金利上昇を防ぐことになる。
既に安倍総理も黒田日銀総裁も将来「外債(米国債の意味)を購入する」と発言している。
「円の独歩安」もまたアメリカのFRBの次なる金融緩和出口の備えなのである。


「円の独歩高」も「円の独歩安」もアメリカの金融政策の補助政策である以上、我々投資家は、アメリカの先を読んで上手に立ちまわらなくてはならない。
19週間連続でニッケイを買ってきた外人は先週末から売りに転じてきたのを見ても分かる通り、「ぬか喜び」をしていると、何時ものように足をすくわれる。
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