アメリカの株価と日本の株価の構造的違い
ニッケイは5月23日1,143.28円の暴落をした後の24日(金)は一時ザラバで600円の半値を戻した後マイナス圏に落ちたが結局はプラスの14,612円で終わった。
私は23日の「ここ一番!」と「増田俊男の目からウロコのインターネット・セミナー」で、「NY株価は今年に入って2007年の最高値14,200ドル台を超し、さらに1,000ドルも上げ、リーマン・ショック以来約170% も上げているので、確かに過熱と言われても仕方がないが、今年になってから80%も上げたニッケイと異なり5年5カ月掛かって達成した上げである。だからNYはニッケイのように一日で大暴落するのではなく調整には時間がかかる。NYの調整が終わらないとニッケイは本格的上げに転じない、だから、ここのところの下げでの買いはまだ早い」と述べた。しかし、私は翌日の23日、前日の言葉を翻し「本日から買い!」をアドバイスした。アドバイスが急変した理由は二つある。
一つは本誌でも述べた通り、24日の寄り付きを見ても分かる通り、今後外人の買いがさらに増えることが予想されたからである。他の理由はまだ24日の時点で分析が出来ていなかったので述べなかったが分析途中とは言え「24日の買い」には変わりはなかった。
株価の基本的な分野を分析すると、NY株価の大きな調整が無くなる可能性が出てきたのである。
極基本的な話になるが、株価も物価も需要と供給で決まること周知の通り。
アメリカの市場にはFBRから月額$85 billion(約8.5兆円)の資金が供給されていることもご存知の通り。今日のNY株価が昨日より高くなったとすると、それは市場への資金供給量が一定とすれば市場の株数が減った事を意味する。
市場の株数が増えるのはIPOや上場会社の新株発行(増資)である。
市場の株数が減ると言うことは上場企業が自社株買いをすることである。
NY市場で株価上昇が急速になった2009年から今日までの自社株買いを見ると毎年10%プラスのピッチで増加している。ちなみに2012年の自社株買いは$384 billion(約40兆円)であり、対する同年のIPOによる株数増を発行の時価で計算すると$40 billion(約4兆円プラス)で、明らかに供給される資金に対して市場の株数は激減していることがわかる。上場企業は自社株買いをしているくらいだから増資はしない。さらに資金の供給量は一定(FRBによる)ではなく債権市場や商品市場から株式市場への資金流入が続いている。
NYは5年5カ月で2007年の最高値を突破し、さらに1,000ドル上げて15,300ドル台に達しているが、一定以上に増加する資金供給と減少一途の株数(需要)との関係(需給関係)からはたしてNY株価は過熱と言えるのだろうか。
私は、「黒田日銀の異次元金融緩和が本年4月から始まってからニッケイ平均株価は急騰したが、5月23日の暴落の前の時点でも2007年の高値18,200円台には3,000円も及ばない水準。今年になってからの40%の上げは過剰(異常)に見えるが5年のスパンで見ればニッケイは過熱ではない」と述べた。
いろいろ日米市場の需給や両市場での企業の活動を分析すると、そう簡単には言えないことが分かってきた。日米両市場の資金供給と取引可能株(浮遊株)の「需給関係」を大雑把に検証したが、今後NY株価が毎週高値を追い続けることは無いにしても、大きな調整は無いという分析結果になった。
別の機会に解説するが、FRBのバーナンキ議長の議会証言を細かく分析してみた結果、今まで9月に緩和量削減と見ていたが、これも間違いかも知れない。
詳しくは「ここ一番!」と「増田俊男の目からウロコのインターネット・セミナーで「明日」解説します。
明日までにアメリカの懇意にしているシンクタンクに確認したいことがある為。
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