第871号(2013年11月15日号)

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Yellen(イエレン)次期FRB(連邦準備理事会=日銀に相当)の問題点

私のNYの知り合いのMr. Peter Schiff氏はEuro Pacific Capitalという投資会社のCEOでありTVコメンテーターでもある。氏は私とよく意見が合う大変まともな経済評論家である。次期FRBの議長になる予定のイエレン女史についてTVで「アメリカを潰す女だ」などと強烈な非難をしていた。彼女はリーマン・ショックの時からFRBに居ながら今回の不況の根本原因を知っていなかった。バーナンキ議長は政治家と同じで自分の任期中さえよければ後は野となれ山となれだから思い切った大手投資銀行の救済とQE1からQE3までの超大緩和政策を実施した。ハト派(強烈な緩和論者)のイエレン氏はバーナンキ氏と異なり今日までの一連の緩和政策は正しいと信じている。リーマン・ショックに代表される今回の不況の原因は規律なき財政赤字の垂れ流しとゼロ金利、ドル乱発とドル安によるバブル政策であった。2008年からの緩和政策は正に間違いの繰り返しである。私は、緩和政策は銀行が黒字転換した2009年に止めるべきだったと何度も述べてきたが、その点Peterも全く同意見であった。
間違いを繰り返せばまたもや同じことが起きる。前回の不況の真の原因を知らないイエレン氏が間違いに輪をかけて来ると市場はどう反応するだろうか。
まだ市場も投資家も浮かれているようである。
今回の「小冊子」(Vol.51)で「ドル崩壊の歴史」と題して1971年8月15日のニクソン・ショックからリーマン・ショックまでいかにドルが衰退したかを述べている。株価が上がり、住宅価格が上がり続けるのは、経済が回復しているからではなく通貨の価値が下がり続けているからである。もらう通貨の価値が下がっても一向に上がらぬ給料等所得だけが犠牲になっている。
イエレン氏が喜ばれるのは一握りのバブル紳士からだけになりそうである。
浮かれれば浮かれるほど塗炭の苦しみが待っていることを忘れてはならない。


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