アメリカの衰退
1971年8月15日のニクソン・ショック(金とドルとの交換制廃止)からアメリカのドルはFiat Currency(担保のない名目だけの通貨)に変わったが、その後もドルはアメリカの狡猾な戦略で世界の通貨としての基軸通貨のまま留まる事が出来た。他の先進国中央銀行はアメリカに習って財政上の必要に応じてFiat Currencyを無制限に発行することになった。(日銀の通貨健全性の鏡であった「日銀券ルール」もついに2013年4月黒田異次元金融緩和で崩壊した)。
国際基軸通貨が金と交換出来る金本位制を廃止したことは、世界の通貨が信用基盤を失ったことに通じるが、アメリカはドル基軸制の特権と責任遂行の為に世界のエネルギー需要を満たすに十分な埋蔵量を持つサウジアラビアを中心とした中東産油国を指導して、1960年OPEC(石油輸出機構)を作らせ、(イラク、イランを除く)中東産油国の安全保障と引き換えに中東原油取引通貨をドルにすることに成功した。アメリカは世界が中東の原油を輸入すればするほどドルの需要と信認が高まる基盤をニクソン・ショック前に用意していた。
世界交易の約60%がドルで取引されていることと中東原油の取引通貨がドルであることからニクソン・ショックによるドルの信用崩壊は避けられドル価は維持され続けてきた。しかしベトナム戦争、アフガン戦争、中東戦争、テロとの戦いの浪費による恒常的財政赤字と返済不能の累積債務でついにアメリカは軍事予算の削減のやむなきに陥った。将来にわたって縮小を続ける軍事予算を前にオバマ政権はついに「アメリカは最早世界の警察官ではない」と宣言せざるを得なくなった。
警察官不在の世界
警察官不在社会で何が起きるか、、それは詐欺と強盗の横行!
6月6日、EU(欧州連合)の独占禁止局は円建てロンドン銀行間取引金利(LIBOR=London Interbank Offered Rate‐ライボー)で不正操作があり英バークレー銀行を含む6金融機関に15億ユーロ(約2,000億円)の罰金を課した。
NYの大手投資銀行のインサイダー取引、詐欺取引のニュースは絶えず、銀行の有罪判決罰金額は数兆円に達している。今や銀行、金融機関の不正行為はアメリカから世界中に伝搬している。
一方中国が他国の領土を自国の地図に書き込み軍事力で実効支配するように、中東やアフリカでの国境闘争が激化している。
法ではなく軍事・経済力がモノを言う時代になってきた。
民主主義の終焉
民主国家日本では地主の権利主張で高速道路の完成には優に20年かかるが、独裁国家中国では2年で完成。独裁国家の経済効率は「開発独裁」の名の下に民主国家を凌駕する。17世紀から18世紀の欧州産業革命で人口の90%を占めた名前の登録すらなかった農奴を工場労働者という人間に変えて「考える歯車」にするために必要であった民主主義は今日のカネがモノを言うリストラ時代には不要。かくも自然から離れ、さらに自然を犯し続けてきた人類が登りつめた頂上から来た道を元へ戻ることを人類に意識付ける増田俊男の「下山の哲学」が民主主義に代わり人類の哲学の本流になるのは皆様がお亡くなりになった後だろう(私はまだ今後144年間生きますが)
大海原を彷徨う「タイタニック号」を宇宙から見下ろしながら沈没前に皆様を救済したいと思い「小冊子」(Vol.58)を書いています。
発送は予定より若干遅れますが、それだけ充実した内容になります。
皆様の延命のお役に立てば幸いです。
|