シリア、エジプト、ウクライナ、さらにはイラク内戦の真実
こうした地域での紛争は、世界のマネーとエネルギーの流れを変えるために起きる副作用的現象でしかない。(詳しくは「小冊子・Vol.58」参照)
東西争奪戦を視野に入れてアメリカが動き出した。西のアメリカ陣営は欧州と日本その他アメリカの同盟又は友好国。東の中国、ロシア陣営は上海協力機構加盟国を中心とした権力国家群。2001年から約10年間アメリカが軍事支配していた中東からアメリカが撤退し、アメリカが(シェールガス・オイル革命で)本格的にガス・オイルの輸出国になればサウジアラビアのアメリカ離れが加速する。
西太平洋、東・南シナ海での中国の野心的軍事攻勢にアメリカは責任ある行動を執らないのでアセアン諸国は(寄らば大樹の陰で)上海協力機構に向かおうとしている。
東西冷戦時の軍拡競争が原因でソ連は崩壊、アメリカは潜在的財政破綻国家になった轍を踏み今後アメリカは中国との軍拡競争と軍事覇権競争は絶対にしない。従って中国の対日軍事攻勢に対するアメリカのスタンスは「日中問題は日中で」で関与しない。西太平洋・アジアの制空海権は事実上中国が制しているし、将来の米中軍事予算の違いを見ればアメリカは中国に挑戦出来ない。アメリカは中国の軍事力の巨大化に対抗することはなく、ただ傍観するしか術がないのである。ペンタゴン(米国防総省)は2010年、4年ごとに変更する防衛指針の中で中国の西太平洋・東・南シナ海における「接近阻止」・「領域拒否」という制空海権維持戦略を崩壊に追い込むAir・Sea/Battle(エアー・シー・バトル)なる戦略構想を発表、予算化を議会に要請したが2013年オバマ政権も議会も一蹴した。アメリカとしては日本の防衛指針を専守防衛から積極的防衛に転向させ、アジアにおける米中軍事力ギャップを日本に埋めさせるしかないのである。アメリカにしてみると安倍首相が靖国参拝で日中関係を悪化させることは「迷惑この上ないこと」。だから昨年12月26日安倍首相が靖国参拝した時着任したばかりのキャサリン・ケネディ米大使が ”Disappointed”(失望した)と言ったのである。
イラク内戦もウクライナ問題も本質は同じ。ウクライナ問題はロシアが欧州に供給してきた原油・天然ガスをアメリカがロシアに代って供給。一方ロシアは欧州向けを中国に切り替える。アメリカはイラク内戦を期にサウジアラビアの宿敵イランの制裁(原油輸出禁止)を解いてサウジアラビアを窮地に追い込み、サウジを益々スンニ派過激組織への資金供給に走らせ、イラク内戦を長引かせて原油価格を上げ、さらにはサウジアラビアの政治・経済の中国依存度を高める。このように世界のエネルギーの流れと政治が東西冷戦型に整理整頓されつつある。今またマネーの流れを変える大作業が始まろうとしているが、「小冊子」(Vol.58)に詳しく解説している。(とても2‐3ページで書けることではない:複雑と言うこと)
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