金をまいても無駄なコンクリート橋は壊れない
世界の先進国経済は私の言う「下山の哲学の時代」(成長無き時代)に従って今後も低成長又はゼロ成長が続きデフレ化は免れない。
2008年のリーマン・ショック後FRB(連邦準備理事会=アメリカの中央銀行)主導による大規模な金融緩和で株価と不動産価格が上昇したことから景気が上向いたかに見えるが2014年になると息切れとなり米国、欧州、日本の経済成長率が低下してきた。
アメリカの第1四半期は約3%のマイナス成長であったがアメリカの広範囲を襲ったハリケーン等の悪天候が原因とされた。
欧州の第2四半期のゼロ又はマイナス成長はアメリカ同様の悪天候とロシアとの制裁欧州の影響とされている。
日本の第2四半期の景気の落ち込みは4月からの消費税の為とされた。
では何も理由のない第3四半期に日米欧経済は何故停滞するのか。
私はFRBが緩和政策を本年10月に止めるのは金融政策の経済成長に対する限界を認めたからであると指摘した。
先進国経済の停滞は経済構造上の問題であって金融緩和と言う名のカンフル剤で病根を絶つことは出来ない。
最大の問題は生活水準の高度化と世代問題と言う人口問題である。
先進国の耐久消費財はもうこれ以上改良の余地がないほど品質が向上している。
車も家族数だけの台数になった。世界中旅行したのでもう行くところがない。
贅沢もここまで来ると限界である。生活水準の向上の見込みがなくなったら消費も投資も伸びないから経済成長は止まる。
更に日本は団魂の世代と言う「よく働きよく使う世代」が15年前から引退してしまったので経済は活力を失った。アメリカとドイツなど欧州では2014年からベビーブーマーという日本で言う団魂の世代が引退する。
金融緩和でマネーを振り撒いても経済は踊らないのである。
安倍内閣第三の矢の規制緩和による新規需要喚起にも限界がある。
残された最後のチャンスはScrap and Build(破壊による建設)しかない。
日本経済が比較的健全なのは2011年3月に東日本大震災を受けてインフラ投資が強制されたからである。
過去に行った無駄なコンクリート型公共投資で作ったインフラを災害ではなく国家事業として破壊(Scrap)するしか術が無くなってきた。
日米とも笛(緩和)を吹いて株価を上げて喜んでいる場合でない。
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