「先進国はデフレから脱却できない」
―数日中配達予定の「小冊子」(Vol.60) の第3章のサブ・タイトル。
総務省が9月26日発表した全国消費者物価指数(CPI‐2010年=100 )は103.5で日銀による消費増税の物価押し上げ効果は2.0%だから前月比で8月の上昇率は1.1%になった。同様に5月‐6月は1.4%、6月‐7月は1.3%で、今回(8月‐9月)が1.1%だから月を追うごとに物価上昇率が下がっていることが分かる。
消費増税以外で物価を押し上げるのは異次元金融緩和と言う名の円安要因。
8月のドル・円は102‐104円で、6‐7月の101円平均より下落していたことから前期より輸入物価と原材料コストが上昇し消費物価を押し上げたはずが、実際にはより円高であった7月期、さらに円高であった6月期より物価上昇率が下がったのは何故か。10月のドル・円は平均109円台の円安だろうが、時間と共に物価指数は下がる傾向にあり、この調子では10月末には1.0%を割るかも知れない。
黒田日銀総裁は「1.0%を割ることはない」と自信満々だが、その根拠は曖昧である。「1.0%を下回るようなら、追加緩和であろうと何であろうと躊躇なく調整する」と総裁は言うが、GDP比でFRBの3倍の緩和をしても物価が上がらない事実を知りながら、「デフレ化したら金融緩和」では(小冊子Vol.60で述べているが)FRBを動かしている御仁たちから”Mr. Kuroda is crazy“(黒田氏の頭は狂っている)と言われても仕方があるまい。
「物価は需給で決まる」ものであって通貨価値を下げて店頭物価が上がってもその分はバブル(偽物)であると同時に通貨の購買力の低下を示すに過ぎない。
世界の中央銀行総裁達が驚くほどの規模の黒田金融緩和にもかかわらず物価上昇率は黒田総裁が宣言した2.0%など夢の如しで、時を追うごとに1.0%からさらに下方に下がるのは何故なのか総裁は知らないのだろうか、それとも知らない振りをしているのか。
もし1.0%以下になって黒田総裁が追加緩和をしたら、経済を知る者は総裁の呼び方をCrazyからStupid(愚か者)に変えるだろう。
金融が経済を動かした金融時代はFRBのQE3終了で終焉をむかえる。
黒田総裁、もうゲームは終わり観客が家路に向かっているのにまだ走るのですか。そろそろScrap & Buildという資本主義の鉄則を考える時なのですが、、。
いずれにしても総裁、Good Luck!
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