Momentum(勢い)
「勢い」は何時までも続かない。
2013年4月4日の異次元金融緩和以来日銀は国債を買って金利をゼロに集約しながら市場に流通する資金量(マネタリーベース)の二倍に当たる270兆円の資金を市場に供給、さらに2014年10月末に80兆円に及ぶ追加緩和を行ったため、私が言い続けてきたように、円通貨の価値(購買力)が下がった分だけ株価と不動産価格が上がっている。
日本の株価は日本経済に何の関わりも無く、株価が上がる「こじつけ理由」として経済情報が必要なだけである。
従って株価の先行きを知るには経済ではなく株価を押し上げてきた緩和量と緩和出口を知ればいい。緩和政策は本来不況時の「カンフル剤」であって不況の原因を改善し経済を通常に戻す働きはない。
不況の原因を改善するのは金融政策ではなく「財政政策」である。
日本政府は世界の群を抜いて経済史上最大のGDP比230%の債務を抱えていながら毎年数十兆円の赤字国債(会社で言う融通手形)を発行している。
日本の国債はギリシャ以下の潜在的不履行債券である。(ギリシャの主な債権者はIMFや欧州諸国)
日本がギリシャのように国債不履行にならないのは債権者(国債保有者)がほぼ100%国民であって、国民は国債償還不能になるまで保有し続ける。
日本の国民は「日本の国債は潜在的不履行債権であり、利回りを考慮すれば保有すればするほど損をする」ことを承知しながら決して売らない世界に例のない愛国者だから。
「ここ一番!」で「今週(6月1日)からは下げ相場」と述べたが、NY市場も日本市場も「疲れが出てきた」。
カンフル剤を飲まされると最初は驚くほど効いて気分が良くなるが、2013年4月4日から毎日飲まされたら慣れてしまってあまり気分の良さが感じられなくなった。そこで昨年10月末の追加投与でカンフル剤の分量が増えたので気分爽快になったが、また効かなくなりつつある。緩和は麻薬と同じで慢性化する。
ニッケイは外人が意図的に場が閉まる寸前に先物で成り行き買いを入れ続けているから12連騰だが、上げ幅はわずか20‐30円で勢いがなくなってきた。
「笛吹けど踊らず」で、NY市場も同じである。
黒田日銀総裁は、追加緩和は考えないと言う。
ではどうなる?!
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〇5月28日(木)No.533 第三話:ドル基軸崩壊の過程、日本の株価
〇5月27日(水)No.532 日本の株式市場100%バクチ相場
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