グローバル市場主義時代の終わりの始まり
資本主義思想に基づく自由主義国家体制と市場主義経済が終焉を迎えようとしている。
欧州経済圏に見られるように、先進国の生活水準はピークに達し新たな需要は生まれ難く、新たな投資も不要、資本需要はゼロどころか経済規模(GDP)マイナス化に伴い先進国ではマイナス金利が定着しはじめた。2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻が引き金となった金融市場の大暴落で不況に陥った世界経済不況回復の為世界の基軸通貨の自由裁量権を持つFRBは三次にわたる大規模な金融緩和を敢行、4兆ドル相当の通貨増刷による国債購入を続け、他の先進国中央銀行もFRBに追従した。BOJ(日本銀行)もECB(欧州中央銀行)も緩和目標を物価上昇率2%としたが現在いずれも目標達成は困難な状況である。物価上昇はモノとサービスの需給で決まるのが本来であるのに通貨増発で通貨価値(購買力)を下げ、見せかけだけの物価を上げようとするのが緩和政策である。緩和でどんなに市場に資金を注ぎ込んでも資本は資本需要のない経済には回らず、限りなく掛け金を増やしたがるカジノのプレイヤーよろしく緩和資金は金融市場と不動産市場へ向かった。
こうした先進国が専念してきた市場主義的、賭博的経済運営方法に対して久しぶりに国民がノーを突きつけた光景が私の目に留まった。
それは9月12日に行われた英国の労働党の党首選挙である。Mr. Jeremy Corbyn(ジェレミー・コルビン)氏が4人の候補中で59.5%(他は19%、17%、4.5%)という圧倒的勝利をおさめて党首に選ばれた。コルビン氏は共和党系メディアに狂気扱いされたり、同じ労働党のブレア元首相、ブラウン元首相など党の大物から「コルビンが党首になったら労働党は終わりだ」など反対された中での大勝利であった。私が注目したのはコービン氏の主張である。現保守党の政策を非難して、「緊縮財政政策中止」、「社会福祉増強」、「富裕層と企業への増税」、「貧困層の為の家賃支援」、「中央銀行の対政治独立制廃止」などを労働党の公約として主張すべきだと訴えた。氏が経済政策の基本として盛んに主張したのは、今まで労働・保守両党が超党派で進めてきた「市場主義経済政策」の否定である。政治政策で注目を集めたのは「NATO離脱」、パレスチナ侵攻を続けるイスラエル支援停止と「「シリア空爆停止」で欧州に押し寄せる「難民に歯止めをかける」などと「アメリカ追従からの脱却」を強調した。
今回の党首選挙は3ポンド払えば誰でも投票できる新制度を導入したので有権者の真剣さが従来と異なり国民の民意がよく表れたとされる。
私は最近の著書(小冊子Vo.72のこと)で、資本需要がマイナスになるようでは資本主義は機能しない。今世界経済にとって必要なことは安易な緩和政策で膨れ上がった金融・不動産資産のぜい肉を切り落とし、骨と必要最小限の筋肉の体に戻すことだ、安易な緩和政策とは逆に、利上げ、通貨高、デフレ政策で金融・不動産市場を暴落に誘導、経済規模縮小とリストラ敢行の時が来ていると述べた。増え続ける借金と膨張し続ける肥満体。心臓麻痺であの世に行くか、それとも血は流れるがぜい肉を切り落とすか。
さあ、どうする。
増田俊男からの天の声でした。
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