TPP(環太平洋経済連携協定)と安保法制
TPPの交渉が始まった当初、参加国は豪州、ニュージーランド、周辺の中小国で日本は入っていなかった。日本は3年前から急に参加を決め最も熱心に合意を目指した。今回の大筋合意は甘利担当大臣の強い意志とイニシアチブで妥協出来たと言っても過言ではない。言うまでもなくTPPは世界貿易の40%を占める世界最大の重貿易圏の構築であり、オバマ大統領が「中国などではなく我々が世界経済のルールを作るのだ」と言うようにアメリカに代わって世界の経済覇権を狙う中国を意識していることは確かである。つまりTPPはアメリカのドル市場拡大の為であり、アメリカの一極経済覇権に挑戦する中・露を意識したアメリカの経済覇権の再構築である。アメリカは、日本経済がアメリカより中国に大きく依存していることから当初から日本をTPPメンバーとして考えず「中立的存在」としていた。
戦後日本を対米属国化した政治的理由は米ソ冷戦の為であって、今日のようにアメリカ自身が世界覇権の多極化を推進している時アメリカ追従を求め続ける日本はアメリカにとって迷惑なのである。ちょうど今中東での米単独覇権が崩れロシア・イランに移ろうとしているように戦後から続いた米単独覇権はアメリカ、中国、ロシア、欧州との間の地政学的力学の葛藤で急速に覇権の多様化が進んでいる。日本は集団的自衛権強化と安全法制で積極的に米軍の傘下になろうとすると同時に積極的TPP推進で経済的にもアメリカ主導経済圏従属を求める。まるで執拗にアメリカを追う日本、逃げるアメリカの姿である。
日本の官僚が政治を支配し官僚国日本を永続させるためには「虎(米国)の威を借る狐(官僚)」でなくてはならず、どこまでもアメリカの属国になろうとする。
来週私はアメリカの民主党と共和党大統領候補等の大物に会いTPPについて私の意見を述べる。「域内無関税を求める前に域内の為替管理方式を決めるべき」が私の意見。いくら域内各国の関税率を決めても黒田日銀のようなGDP比75%(FRB22%、ECB18%)の通貨安政策で対象品目の競争力を操作されたのでは機能しない。又CIAやNSA(国家安全保障局)の幹部と会ってシリア内戦終結後の戦略等について話し合う予定。民主党ヒラリー候補も他の有力な民主党の大物たちもTPP反対、共和党は100%反対で議会全体の90%は反対だからオバマ大統領の拒否権も効かずアメリカのTPP批准はあり得ない。アメリカのTPP批准が無ければアジアと世界の草木はどこへ向かって流れるのだろうか。
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