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1079号(2016年6月7日号) | |||||
逆転の哲学-「歴史の始まりに」 イギリスで起きた産業革命(17‐18世紀)までの戦争は基本的には同じ大きさのパイの奪い合いであり、一国の富が増えれば他国の富が減るゼロサム戦争。 国家経済の成長、拡大がない時代は身分制度に基づく絶対王政が定着し現状維持型保守主義が政治の本流だった。 産業革命による生産手段の機械化は人間社会を一変させた。 産業革命により欧州では同じパイを競う時代からパイの増産競争時代へ移行。 何千年間も続いた経済需給バランス不変の時代から、常に需要が供給を上回る売り手市場時代になり、工場の社長がモノを言い、銀行が頭を下げる時代になった。 イギリスから起こった産業革命は瞬く間に全ヨーロッパに拡大し、欧州列強は原料と新市場を求めてアジア、北米、中南米、中東、アフリカを次々に植民地化していった。 産業革命後の植民地戦争も第一次世界大戦も増産と富拡大の為の戦争であった。 国際的に増大する需要に対応する為産業資本の資金需要は急増し、工場の社長が銀行(独占資本)に頭を下げる時代に変わっていった。 一方国家も度重なる戦争で財政が悪化し、銀行に頭を下げるようになった。 そして独占資本はイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、さらにアメリカに、政府に資金を供給する為の政府から独立した形の中央銀行を設立、自ら大株主になったのである。 アメリカにFRBが設立された1913年12月23日から産業資本の時代から金融資本の時代に移行したのである。 金融(中央銀行・債権者)が財政(政府・債務者)を支配する時代の到来である。 正に「金がモノを言う時代」であり、「独占資本がモノを言う時代」の始まりであった。 私は独占資本がFRBを作ってアメリカに根を下ろした時(1913年12月23日)からニクソン米大統領がドルと金の交換制(金本位制)を廃止した1971年8月15日(ニクソンショック)までを「金(ゴールド)がモノを言う時代」と呼び、ニクソンショックからリーマンショック(2008年10月)までを「札=ペーパーマネーがモノを言う時代」と呼ぶ。 金本位制時代は金(ゴールド)がなければマネーを増刷出来ないから実需=本物がモノを言い、ペーパーマネーがモノを言う時代は仮需要=偽物がモノを言う時代である。 アメリカ経済がリーマンショックを克服し自律回復したことで偽物の時代が終わったとするなら、これから「何がモノを言う時代」になるのか。 本物の時代に戻るのか、あるかは又偽物時代を続けるのだろうか。 2020年からIMFでSDR(特別引き出し権)と金とのペッグ制によるドルに代わる国際基軸制が議論されることになった。 金本位制復活で本物の時代再来かも知れない。 それを裏付ける独占資本の動きがある。 偽札同様のペーパーマネーの発行元(中央銀行)をコントロールする独占資本が価格操作で金価格を不当に下げて偽札(ペーパーマネー)で買い占めている。 これからの世界経済も又人心も仮需要(カンフル剤・偽物)で動かなくなったことが分かったので偽物(ペーパーマネー)と本物(金・ゴールド)をスワップ(すり替え)する独占資本の戦略である。 偽物の主が本物の主になろうと言うわけである。 もしあなたが1年先まで食うに困らないなら1日しか食うことが出来ない誰かに10日間生活をするのに十分な金を提供する気にならないだろうか。 もしあなたより収入が少ない人が20日分を提供しているのを見たらあなたはどう思うだろうか。 これからはスマートな人の間でスマートでないことをする競争が始まるかも知れない。 世論を操作するマスコミがスキャンダルや儲けのことばかりから誰が誰にどんないいことをしたかを報道するようになったら貪欲な人も変わるかも知れない。 独占資本が本物を支配するなら人心を操作する独占資本支配下のマスコミも本物志向になる。 人類は奪い合いを繰り返しながら競って頂上を目指し、遂に登りつめた。 今や人は得たものを捨てながら身軽にして下山を競うことになる。 国家も国民も蓄えたペーパーマネー資産を減らすことで本物資産の価値を押し上げながら自ら縮小し、独占資本は価値が増大する本物と共に拡大する。 私は今フランシス・フクヤマの「歴史の終わりに」に代わる大作「歴史の始まりに」をアメリカで出版する準備をしている。 「小冊子」(Vol.80)は「歴史の始まりに」の要約本である。 「価値ある小冊子」にご期待下さい。 |
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