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1111号(2016年10月5日号) | |||||
米大統領選はAmerixit(アメリカの世界離脱)か否かの国民投票 「アメリカは違う国」(Exceptional nation )と言われる。Exceptionalとは例外という意味で、アメリカの国民が建国以来自分たちは他国の国民とは違うのだと自覚していると言う意味でよく使われる言葉である。建国以来アメリカの国是は民主主義、自由主義を世界に広めることとされている。民主主義・自由主義を広める者と広められる者とは違う。 資本主義の中心的価値は通貨(マネー)であるが、アメリカは世界の通貨(基軸通貨)を発行する国であるから国際通貨を使う国とは違う。このようにアメリカが他国と違うことをアメリカはExceptionalだと言う。 アメリカ初の黒人大統領オバマは2013年9月対シリア内戦への軍事不介入声明を発表した際、「もはやアメリカは世界の警察官ではない」と宣言した。そして中東からの米軍撤退、将来韓国からの米軍撤退(公表)、2020年から2026年の間に沖縄から海兵隊を含む全米軍撤退(非公式)、NATO(北大西洋条約機構)の閉鎖又は欧州中央軍への統合、中南米、アフリカ地域からの米軍撤退等々で、(私の造語)Amerixit(アメリカの世界からの離脱)に向かう。 中国が2桁の軍事費増強で刻々とアメリカの軍事力に迫っているのにオバマ政権は今後10年で100兆円規模の軍事費削減を決めている。正に「沈むアメリカ、浮上する中国」の感がある。こうした現実の中でアメリカは日本をはじめ同盟国に対中防衛包囲網構築の準備を進めてきたが、豪州は新政権誕生と同時に対米自立、対中協調路線に変更、フィリピン新政権(ドゥテルテ大統領)は親米から反米対中協調に指針転換、日本もアメリカが嫌いかつ阻止してきた対ロ接近に向かっている。 「俺はお前たちとは違うんだぞ、よく覚えておけ」と言って世界中のショバ(とばく場)を仕切ってきた大親分(アメリカ)にいよいよ退潮の時が来たと思ったのか子分たちは親分の言うことを聞かなくなった今日である。(詳しくは小冊子Vol.82をご参照) 日本のマスコミや有識者、専門家のほとんどがアメリカの世界覇権衰退観を共有している。トランプ米大統領候補の「Great America(偉大なるアメリカ)を取り戻す」はオバマ大統領が主張する同盟国との「対等な関係・パートナーシップ」など他国とアメリカの「違わない関係」に反対しているのであってAmerixitには反対どころか大推進者である。 11月8日の米大統領選は事実上Amerixitか否かの国民投票になるだろう。 Amerixitとは第一次大戦前後にかけてアメリカを世界最強にし、今日のパックス・アメリカーナの基盤となった「モンロー主義」への復帰であることを忘れてはならない。 「一歩下がって二歩前進」! 私は誰よりもアメリカをよく知っていると自負している。 ★「世界大転換期特集」(Vol.82)お申込み、詳細はこちらをご覧下さい。 |
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