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平成30年度一覧
1236号(2018年3月19日号)国会議員号
トランプ・金正恩・米朝首脳会談と安倍首相の運命

キッシンジャーはトランプのゴッドファーザーだからトランプはキッシンジャーのアメリカの指針を天命と心得ている。キッシンジャーの指針とは、「アメリカは最早世界の警察官ではない」、すなわち世界の警察官としてアジア、中東、欧州を覇権下に置き、アメリカの政治・経済を牛耳ってきた軍産複合体の時代を終わらせることである。北朝鮮の金正恩の悲願は「対等な立場」でアメリカの大統領と直接交渉し体制の安全を確保すること。北朝鮮がアメリカに対して対等な立場になる為には「対米軍事抑止力」を持たねばならない。北朝鮮の対米軍事抑止力とは「アメリカ本土を核攻撃出来る能力」である。北朝鮮は「体制が第一で国民は二の次」だからアメリカの報復攻撃を恐れることなくアメリカに対して核先制攻撃が出来る。一方アメリカは国民第一だから北朝鮮に核報復能力があれば北朝鮮に先制攻撃が出来ない。金正恩は昨年11月日本上空を通過したICBM発射実験後、「北朝鮮は核弾頭付きミサイルをアメリカ本土に撃ち込むことが出来る」と宣言した。私は昨年10月CIAインサイダーMr. Jim Rickards氏から「北朝鮮のICBMはアメリカ本土に届くが、精度が完全ではない。しかし2018年3月20日までに完成するだろう」というポンペオCIA長官からの情報を得た。金正恩は文在寅からのオリンピック参加要請も南北会話も拒否し続けてきたが11月のICBM実験成功後(新年早々)オリンピック参加を決め、続いて4月末の南北首脳会談を決めた。北朝鮮を訪問していた韓国特使は3月5日金正恩からトランプへの親書を受け取り、3月8日トランプに手渡した。「アメリカが北朝鮮体制の安全を保障してくれるなら核・ミサイルを全廃する」という内容である。金正恩は妹の金与正をオリンピック開催式(ピョンチャン)に派遣し(2月9日)文在寅に米韓軍事訓練につき理解を示したので韓国はパラリンピック後米韓軍事演習を予定通り行うと発表した(2月20日)。トランプは韓国特使から金正恩の親書を受け取ると大統領就任以来行ったことがない記者団室に現れ「これから重大発表がある」と通達、軍産(国防総省・国務省・CIA)の頭越しに(自分ではなく)韓国代表を通して米朝首脳会談決定を発表した。金正恩は「米韓軍事演習は宣戦布告同然」と主張してきたのに米韓軍事演習を容認した理由は北朝鮮がICBMの精度を高める為の大気圏突入の際の制御装置をまだ完成していないからである(CIA情報)。金正恩は南北、米朝対話中はミサイルや核実験を自粛し、さらに米韓軍事演習まで容認した。中国が主張する「ダブルフリーズ」又は「二つの一時停止」(米韓合同軍事演習停止と同時に北朝鮮は核・ミサイルを停止する)に北朝鮮も米韓も従わなかったが北朝鮮が対米軍事抑止力を持てば米韓は従わざるを得ない。米韓が軍事演習をすれば金正恩は米韓に貸しを作ることになる。金正恩の米韓軍事演習容認は今後必要時に「人工衛星」の名目でICBMの大気圏突入実験の容認をトランプに求めるための布石(取引)である(トランプの容認に反対する勢力を押さえる為でもある)。北朝鮮の対米軍事抑止力が完璧になれば軍産(在韓米軍・在日米軍)のアジア覇権崩壊に向かい、「アメリカは最早アジアの警察官ではなくなり」、軍産のアジア撤退、アメリカの主導権はトランプのホワイトハウスに向かう。
軍産(米軍事産業)の為にアジア(特に日本と韓国)に核・ミサイル脅威をもたらし米国製兵器販売に貢献してきた北朝鮮は、今や対米軍事抑止力で軍産をアジアから追い出し、キッシンジャーから与えられたトランプの天命達成に貢献しようとしている。トランプは昨年11月の訪日の際、将来の対北対話や対中政治・経済交渉を有利にする為安倍首相に「日本はアジアの警察官になってもらいたい」と言い、日本が軍産と共に対北、対中強硬姿勢を貫くよう要請、これを受けて安倍首相と河野外務大臣は「南北対話も米朝対話も時間の無駄だ。対北軍事圧力のみが有効」(金正恩、習近平対日批判増大化)と主張し続けてきた(日本は米朝対話反対)。ところがトランプが米朝対話を決めるや否やロイター報道(3月13日)の通り安倍の日朝首脳会談模索が明らかになった(金正恩、習近平歓迎)。1972年2月ニクソン・キッシンジャーと毛沢東・周恩来の(日本の頭越し)電撃会談の直後(同年9月)田中角栄は日米同盟(対米隷属)の枠を離脱、アメリカに先駆けて日中友好条約を締結(1972年9月発表、1978年8月締結)した。キッシンジャーは田中を「ジャップ」と呼び捨て、激怒したことから日本の官僚とマスコミは田中を葬った。トランプから与えられた日米同盟の下での日本の役割を忘れ、トランプと張り合って日朝首脳会議を急ぐ安倍は田中角栄同様アメリカ(キッシンジャー)にとって裏切り者である。だから日本の官僚とマスコミの「安倍降ろし」は第一次安倍内閣同様、再び病気入院で第二次安倍内閣崩壊まで止まらない。

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