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平成30年度一覧
1237号(2018年3月30日号)
時代の終わりに

トランプは3月22日ホワイトハウスで「晋三はいいやつだが、晋三の微笑は、こんなに長い間米国を出し抜く(甘い汁を吸う)ことが出来たなんて信じられないと言って喜んでいる微笑だ」と言い、安倍首相の笑い顔についての説明をした。そして「日本は最良、最高の同盟国である」と言ってきたにも関わらず、トランプは、対日貿易赤字に不満を露わし、中国同様日本からの輸入品にも関税を課すことを決めた。アメリカは消費大国として、低税率で世界中からの輸入をほぼ無制限に受け入れ、世界最大の貿易赤字国になり、中国や日本は対米黒字国になった。一方アメリカは対米黒字国に米国債(アメリカの借金)を売りつけバランスをとってきた。トランプはこの時代を終わらせる。
トランプと金正恩の主脳会談の発表をホワイトハウスの記者会見で自分でも国務大臣(外務大臣)でもない文在寅(韓国大統領)の特使にさせたことの意味は本誌で説明した通りで、トランプの敵である軍産複合体(国務省、国防総省、CIAなど)による米朝会談の妨害を避ける為であった。トランプが在韓米国大使を任命しないのは、文在寅に米国国務大臣の仕事をやってもらう暗黙の合意があるからだ。4月27日に決まった文在寅・金正恩会談はトランプ・金正恩首脳会談と一帯であって切り離すことが出来ない。米朝、南北会談が決まったのを見て安倍は「日本は置いて行かれる」、「拉致問題を米韓は取り上げないかも知れない」と言う不安から、いろいろ外交ルートを使って安倍・金正恩会談の実現に努めている。米韓が連携プレイで計画通りに米朝会談を進めているところへ安倍が割り込んできたのである。安倍と河野(外務大臣)は当初から「南北、米朝会談など時間の無駄だ」、「軍事圧力以外に北の核廃絶などあり得ない」と言って対話路線を否定する立場であったのに一転、突然安倍は日朝トップ会談に向けて動き出した。日本は韓国と対立してでも対北強硬路線を貫くのが日米同盟上の日本の役割があった。
「キッシンジャーは、中国は信用するが日本は信用しない」!
それは日本が不誠実なのではなく、「日本が全く政治が分かっていない」から信用も出来ないし、頼れないのである。トランプは安全保障関係のポストに軍産トップを任命していたが突然解任、今度はトランプに従順な単細胞型ネオコン(戦争屋)で固めた。トランプの敵は世界一の軍事力を誇る軍産。これに対しトランプの戦力は「口先」だけである。どうしてトランプは軍産に勝てるのか。2016年(大統領選中)、キッシンジャーとCFR(外交問題評議会)が「軍産潰しの最適任者」としてトランプを次期大統領に決めたので私は本誌でも「最早米大統領選は不要になった」と宣言した。私はワシントンDCのシンクタンを通して、ブッシュ政権時代軍産を牛耳った戦争屋(ネオコン)が現在の軍産指導者に対して不満を募らせているから、彼らを最重要ポストに任命して、現勢力を一掃させてはどうかとレポートしたことがある。そして今トランプはレポート通り、トランプの対話路線と正反対のネオコンを安全保障重要ポスト(国務大臣:ポンぺオ、安全保障担当大統領補佐官:ジョーン・ボルトン)に任命した。トランプはホワイトハウスのネオコン化を押さえきれないと思わせ金正恩に不安を与える為である。そもそも米朝会談が出来るようになったのは北朝鮮が米本土をターゲットにした核弾頭付ミサイルを完成したからであり、決して対北経済制裁の効果によるものではない。金正恩が4月に予定された米韓軍事演習に理解を示した理由は本誌で解説した通り、ICBMの大気圏再突入時の精度実験が残っているからで、米韓軍事訓練の貸しとツーペイ(貸し借りなし)になる。
だからトランプが対北有利に立つには金正恩に米政権ネオコン化を見せつける必要があったのである。米朝会談の進行過程で対北軍事圧力を緩める時が来たらネオコンの連中は解任されるが、その前に現行軍産潰しをやらせるだろう。
トランプ(キッシンジャー)は軍事力とドル基軸通貨を背景に推進してきた世界のリベラル体制(民主化体制)を終わりにする。中東の覇権は独裁者プーチンに、アジアの覇権は超独裁者習近平に譲る。(1972年2月キッシンジャーと毛沢東、周恩来との約束)
中国に高関税をかけるのは対中敵対政策ではなく、中国経済を内需拡大志向に誘導し一帯一路(人民元市場)を急速に発展させ、アメリカの時代を終わらせる為である。 何のためのリベラル否定、独裁容認なのか。
「小冊子」Vol.97を読むと、見えない先が見えてくる。


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