第622号(2010年12月24日号)

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株式市場、上げ基調に異変あり!
いち早く好況に向かうアメリカ経済

先の本誌で述べたように、今後アメリカに起きる「消費爆発」(昨年からの私の予想が当たったと考えていい)は企業の設備投資を促し、景況感も当然向上するので「オバマ・マジック」(私の造語で、仮需要を喚起して実需にすり替える手法)は大成功を収めると考えてよい。
私は2011年7月をアメリカ経済が好況に向かう起点と定め、11月3日のFOMC(連邦公開市場理事会)が債権買い取りによる量的金融緩和の期限を同年6月末としたことから、バーナンキ(FRB議長)議長と同じ予想だと述べた。
しかし、ここへきてアメリカ経済が好況に転じる時期を来年3月に前倒しすることにした。理由はアメリカの消費爆発の時期が早まったことと、デフレ脱却と市場金利の上昇が始まったことから出口戦略(ゼロ金利政策終了)が早まり、FRBの機能正常化の下でアメリカ経済が(政治的支援を脱却し)早期に本格的好況に向かう環境が整ってきたからである。

日米経済の出足を挫くヨーロッパ

FRBや日銀は、過剰(財政犠牲)な経済刺激策を採った。
日米経済が本格的好況に向かう基盤が出来たのは正に異常なほどの金融緩和政策のおかげであった。
一方ECB(欧州中央銀行)は(以前本誌で述べた通り)本年6月から域内銀行への融資を40%近く減らしてきたのを見ればわかるように、2010年になって実質的には金融引き締めである。またECBはIMF(国際通貨基金)と共に財政破綻の危機に瀕したギリシャとアイルランドの国債買い取りと財政支援を行ったが、その規模は近々償還期を迎える各国の国債、社債保有総額の範囲内であった。
その為ヨーロッパ経済は日米経済のように不況からまだ回復出来ていなし、回復にはさらに時間がかかる。
私の懸念はヨーロッパ経済回復の前にギリシャやアイルランドの財政危機が再燃することである。現在ギリシャの債務残高はGDPの130%に達している。
ところがギリシャは支援を受けたIMFに対し4年間でGDP比14%まで財政収支を改善することを約束している。現在財政状態では2013年には債務残高は150% になると予想される。はたして2014年にGDP比150%の債務を14%に改善出来るだろうか。「神風」でも吹けば別だが到底不可能であろう。
アイルランドもギリシャと似たような状況下にある。
従って、市場では欧州財政問題は一件落着のようであるが、必ずある時点で再燃する。そうなると今度は強制的債務切り捨てか、債務国(ギリシャやアイルランド)通貨のユーロ離脱しかない。(離脱すると当該国通貨は大幅に下落し企業の国際競争力が増大する)
いずれにしても世界金融市場が「大混乱」を起こすことは間違いない。
今発売中の小冊子に、「信じられないだろうが、日本の時代が来る」ことについて解説したが、その時は正に、ユーロが破綻の危機にさらされ市場がEUに「二者択一」(債務切り捨てか債務国のユーロ通貨離脱)を迫るときである。他人の不幸で栄えるのは心苦しいが、「日本他力本願」!と言っておくことにする。




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