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1106号(2016年9月13日号) | |||||
事実は小説より奇なり! 世界経済が不況に陥った時、国際基軸通貨国、世界最大の経済大国であるアメリカ経済の回復が最優先されるのは当然である。FRB(連邦準備理事会)はリーマンショック後の不況脱出と自律回復の為、日本と欧州経済を犠牲にして2008年10月から1年おきに三度にわたる金融緩和を行った。効果あって2013年アメリカ経済は緩和縮小を宣言するまで回復したので同年4月から日銀に異次元金融緩和を許した。アメリカ優先日欧犠牲とはドル安、円高・ユーロ高維持である。日銀の緩和が解禁されてから為替相場は円安・ドル高に逆転、日銀は2014年10月年間80兆円の追加緩和発表、同時にFRBの緩和出口宣言でドル高・円安は加速2015年円は最安値対ドル125円に接近、2015年末にFRBが利上げに踏み切ったことで円は120円台の安値を維持した。FRBが日銀とECB(欧州中央銀行)に期待したのは2013年からの通貨安の期間に金融緩和のみならず財政政策を駆使した短期の経済自律回復であった。(私は本誌で異次元金融緩和発表時、緩和政策より財政出動の必要性を訴えた) ところが日本に巣食っているマスコミを含む財政健全論者の睨みが効いて安倍内閣は緩和量を(FRBに比して)倍増するに止まった為、アメリカ経済がドル高に耐えられなくなる前に日本経済は自立回復出来なかった。ドル高が続いた為、せっかく自律回復したアメリカ経済がリセッションに逆戻りするリスクが出てきたので2016年2月26日、かつてのプラザ合意(1985年9月22日)同様円高容認の上海合意の止むなきに至った。3年以上にわたる日銀の緩和政策の結果は、物価2%上昇目標は、総務省発表CPI(全国消費者物価指数)前年比5%下落、5か月連続マイナスを見ればわかる通り未達成。黒田日銀総裁は「物価2%の実現に必要とあれば躊躇なく追加的緩和措置を講じる」と言うが、実は緩和の余地はなくなりつつある。 年間80兆円の緩和量は政府の年間国債発行額の約2倍である。日銀が民間銀行から購入出来る国債の量は約95兆円しか残っておらず内約30兆円は銀行の日銀からの借入用担保だから売れない。従って日銀の購入可能額は約65兆円で年内に限界が来る。日銀は7月29日緩和の一環として国債以外にETF(上場投資信託)の購入枠を3.3兆円から6兆円に倍増したが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も買っているので公的資金の保有率はすでに60%に達しているから買い増し枠は限界。日本の社債市場は小さいので兆円単位で購入すればあっという間になくなってしまう。1月に導入したマイナス金利(0.1)はECB(欧州中央銀行)のマイナス0.4%に比べればまだ余地があると言うが、マイナス金利が原因で貯蓄から投資への橋渡し役のMMF(市場運用ファンド)の廃止が続いているように結果は逆効果。自滅状態に陥った日銀が来たる9月20‐21日の会合で自らを総括することになっている。サプライズ好みの黒田総裁はどんな「下手なゴマカシ答弁」をするか楽しみである。 自滅の金融政策と口先先行のアベノミクスで何故「日本経済は世界の頂点に立つ」ことが決まっているのだろうか。 「事実は小説より奇なり」! ★「日本経済が世界の頂点に立つ」(ミニ新刊)お申込み、詳細はこちらをご覧下さい。 |
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